検査と技術43巻11号

2015年10月発行

臨床検査のピットフォール

尿検査のピットフォール—強度着色尿における対応

著者： 沖英彦¹

所属機関： ¹安曇野赤十字病院検査部

ページ範囲：P.1154 - P.1156

文献概要

はじめに

　尿検査は代表的な無侵襲検査であり，患者の病態を推測するために用いられている．特に尿定性・半定量試験紙法（以下，尿試験紙法）は，検体の採取が容易であること，誰にでも簡単に測定できること，さらに特殊な器具・機器が必要でなく，安価に多項目を同時測定できることから，最も一般的なスクリーニング検査として広く実施され，今では必要不可欠な検査となっている^1）．尿試験紙法は，濾紙に試薬を染み込ませただけの単純な構造であり，化学反応の原理が多いため，共存物資の影響を受けやすく，偽反応（偽陽性，偽陰性，異常発色）が非常に多い検査でもある^2，3）．尿試験紙の反応原理や構造を十分理解したうえで使用し，偽反応を見極めて正しい結果を報告することが大事である．

参考文献

1）一般社団法人日本臨床衛生検査技師会：検査技師による検査技師のための技術教本，p13，2012

2）福田嘉明：定性試験．Med Technol　40：356-363，2012

3）伊瀬恵子，澤部祐司，野村文夫：尿定性検査．検と技　42：42-47，2014