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検査と技術43巻12号

2015年11月発行

文献概要

トピックス

次世代プロテオミクス技術がもたらす個別化医療の新展開

著者: 吉岡進13 松本雅記1 中山敬一2

所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所 トランスオミクス医学研究センター プロテオミクス分野 2九州大学生体防御医学研究所 細胞機能制御学部門 分子医科学分野 3株式会社LSIメディエンス メディカルソリューション推進部

ページ範囲:P.1186 - P.1190

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はじめに

 “オミクス(-omics)”という言葉を耳にしたことはあるだろうか.近年の分析技術の発展により,生命を構成する分子を網羅的に計測・研究する“オミクス”が,医学・生物学研究の世界を大きく変えようとしている.オミクスには遺伝子“ゲノミクス(genomics)”,蛋白質“プロテオミクス(proteomics)”,代謝産物“メタボロミクス(metabolomics)”などが存在し,特にプロテオミクス・メタボロミクス分野の発展には,近年の質量分析計の技術革新が大きく貢献している.本稿では,今後臨床検査分野にも導入が期待される質量分析計を用いたプロテオミクスに関し,その基本技術から医学応用について概説する.

参考文献

1)松本雅記,中山敬一:プロテオーム絶対定量がもたらす次世代バイオロジー.実験医 32:1198-1204,2014
2)野村文夫:プロテオーム解析を利用した臨床細菌検査,臨床プロテオミクス.医のあゆみ 251:919-923,2014
3)Masuda T, Saito N, Tomita M, et al : Unbiased quantitation of Escherichia coli membrane proteome using phase transfer surfactants. Mol Cell Proteomics 8:2770-2777,2009
4)Nagaraj N, Kulak NA, Cox J, et al : System-wide perturbation analysis with nearly complete coverage of the yeast proteome by single-shot ultra HPLC runs on a bench top Orbitrap. Mol Cell Proteomics 11:M111.013722,2012
5)中津海洋一,松本雅記,中山敬一:次世代プロテオミクスが拓く生命科学研究の新地平:ウエスタンブロッティングはもう要らない?! 生化学 84:53-57,2012
6)Gillet LC, Navarro P, Tate S, et al : Targeted data extraction of the MS/MS spectra generated by data-independent acquisition : a new concept for consistent and accurate proteome analysis. Mol Cell Proteomics 11:O111.016717,2012
7)Distler U, Kuharev J, Navarro P, et al : Drift time-specific collision energies enable deep-coverage data-independent acquisition proteomics. Nat Methods 11:167-170,2014
8)野村文夫:質量分析技術により大きく変貌する臨床検査.千葉医誌 90:79-83,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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