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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻12号

2015年11月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

血液培養陽性時に,質量分析法による菌種同定はできるのですか?

著者: 清祐麻紀子1

所属機関: 1九州大学病院検査部

ページ範囲:P.1236 - P.1239

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はじめに

 血流感染症は重要な死亡要因の一つであり,初期の敗血症管理に優先的に実施すべき項目として,血液培養および早期の適切な抗菌薬投与が挙げられる.敗血性ショック後における早期の抗菌薬投与が生存率を決定し,不適切な抗菌薬治療が重症患者の死亡率に対するリスクファクターとなることも証明されている1)

 血液培養検査は,血液から微生物をダイレクトに培養・検出できる重要な検査である.菌種名が判明することで起炎菌が明確となり,薬剤感受性検査や侵入門戸の検索も可能となる.国内でも,血液培養の複数セット採取が普及しており,血液培養検査の重要性はますます注目されている.血流感染症の原因菌を迅速かつ正確に同定することは,敗血症の診断と治療に重要な情報提供となる.

参考文献

1)Kumar A, Roberts D, Wood KE, et al : Duration of hypotension before initiation of effective antimicrobial therapy is the critical determinant of survival in human septic shock. Crit Care Med 34:1589-1596,2006
2)木部泰志,手嶋美穂,服部佳奈子,他:VITEK MSを用いた血液培養陽性ボトルからの迅速同定の評価と臨床効果.日臨微生物誌 25(Suppl1):245,2014
3)松山由美子:MALDIバイオタイパーの原理および操作方法.臨と微生物 39:129-136,2012
4)曲淵裕樹:Ⅳ 質量分析の応用,1.迅速同定の応用.化療の領域 31(S-1):191-200,2015
5)Foster AG : Rapid Identification of microbes in positive blood cultures by use of the vitek MS matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry system. J Clin Microbiol 51:3717-3719,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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