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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻13号

2015年12月発行

文献概要

書評

医療レジリエンス—医学アカデミアの社会的責任

著者: 柴垣有吾1

所属機関: 1聖マリアンナ医大・腎臓・高血圧内科

ページ範囲:P.1338 - P.1338

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現代医療に疑問を持つ方に読んでいただきたい一冊

 本書は2015年に京都で開催されたWorld Health Summit(WHS)のRegional Meetingで取り上げられたトピックをそれぞれの専門家が解説したものに加えて,同会議の会長を務められた京都大学医療疫学教授の福原俊一先生による世界のリーダーへのインタビュー記事から成っている.WHSの全体を貫くテーマは「医学アカデミアの社会的責任」とされ,さらにそのキーワードとして医療レジリエンスという言葉が用いられている.

 大変に恥ずかしい話ではあるが,私はこれまでレジリエンス(resilience)という言葉の意味をよく知らなかった.レジリエンスはもともと,物理学の用語で「外力によるゆがみをはね返す力」を意味したが,その後,精神・心理学用語として用いられ,脆弱性(vulnerability)の対極の概念として「(精神的)回復力・抵抗力・復元力」を示す言葉として使われるようになったという.今回,評者がこの書評を依頼された理由を推測するに,評者が最近,超高齢社会における現代医療の限界・脆弱性を指摘していたことにあると思われる.もっともその指摘は身内に脆弱高齢者(frail elderly)を抱えた個人的体験によるもので,アカデミックな考察には程遠いものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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