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混合性結合組織病と抗U1-snRNP抗体
著者: 横井俊介1 片山雅夫1
所属機関: 1名古屋医療センター膠原病内科
ページ範囲:P.100 - P.102
文献購入ページに移動はじめに
1972年,米国ミズーリ大学のGorden Sharp教授は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc),多発性筋炎(polymyositis:PM)の臨床像を共通してもち,比較的予後良好な患者群を,混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)として提唱した1).その後,疾患の独立性に疑問が上がり,米国ではSScの亜型,あるいは特定の膠原病に発展する前の段階などとする考えが主流となっている1).日本では,1982年にMCTDが厚生省特定疾患に指定され,1984年には研究班によって診断基準が作られた(1996年,2004年に改訂).全国の統計学的調査も施行され,MCTDの疾患独立性を支持するに至っている.本稿では,この比較的歴史の浅い疾患であるMCTDと,その診断に必須とされている抗U1-snRNP(U1-small nuclear ribonucleoprotein)抗体について述べる.
1972年,米国ミズーリ大学のGorden Sharp教授は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc),多発性筋炎(polymyositis:PM)の臨床像を共通してもち,比較的予後良好な患者群を,混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)として提唱した1).その後,疾患の独立性に疑問が上がり,米国ではSScの亜型,あるいは特定の膠原病に発展する前の段階などとする考えが主流となっている1).日本では,1982年にMCTDが厚生省特定疾患に指定され,1984年には研究班によって診断基準が作られた(1996年,2004年に改訂).全国の統計学的調査も施行され,MCTDの疾患独立性を支持するに至っている.本稿では,この比較的歴史の浅い疾患であるMCTDと,その診断に必須とされている抗U1-snRNP(U1-small nuclear ribonucleoprotein)抗体について述べる.
参考文献
1)粕川禮司:混合性結合組織病:診断と治療の進歩-Ⅰ.概念誕生の背景とその歴史.日内会誌 85:1191-1195,1996
2)公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター:混合性結合組織病(公費対象)認定基準(http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/041_s.pdf)
3)一般社団法人日本リウマチ学会生涯教育委員会,財団法人日本リウマチ財団教育研修委員会(編):リウマチ病学テキスト,第1版.診断と治療社,2010
4)東京女子医科大学付属膠原病リウマチ痛風センター(編):EBMを活かす膠原病・リウマチ診療,第3版.メジカルビュー社,2013
5)Sharp GC, Irvin WS, Tan EM,et al:Mixed connective tissue disease--an apparently distinct rheumatic disease syndrome associated with a specific antibody to an extractable nuclear antigen (ENA).Am J Med 52:148-159,1972
1)Kattah NH, Kattah MG, Utz PJ : The U1-snRNP complex : structural properties relating to autoimmune pathogenesis in rheumatic diseases. Immunol Rev 233:126-145,2010
2)駒井浩一郎:抗U1 snRNP抗体の病因的意義.リウマチ科 47:613-616,2012
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