文献詳細
文献概要
臨床医からの質問に答える
これは遺伝子検査? それとも染色体検査?
著者: 松田和之1
所属機関: 1信州大学医学部附属病院臨床検査部遺伝子・染色体検査室
ページ範囲:P.146 - P.151
文献購入ページに移動臨床医のなかには,PCR(polymerase chain reaction)法を用いた検査,FISH(fluorescence in situ hybridization)法を用いた検査,分染法を用いた検査のこれらいずれの検査をしても「遺伝子検査を実施した」と勘違いをされる場合がある.もちろん,臨床医の認識が全く誤っているわけではないが,各検査によって得られる情報には限界があり,臨床検査を担当する検査技師としては,検査の区別,検査法の限界を心得たうえで,得られる結果の意味をしっかり臨床医に説明する責任がある.
「遺伝子検査と染色体検査について,それぞれの検査を思い浮かべながら,それぞれの検査について簡潔に説明できますか?」 この質問は,医学部保健学科の学生が病院実習で当検査室にきた際に,毎年,最初に聞く質問である.一見,学生に対して簡単!?と思われる質問であるが,この質問に対して,正確に(過不足なく)答えることは非常に難しいかもしれない.ちなみに,実習生は緊張しながら,断片的ではあっても,これまでの知識を動員しながら,必死に説明してくれる.同じ質問を臨床医にも聞いたら,そして,臨床医にしっかり違いを認識してもらうことができたら,より的確な検査材料の提出や正しい検査結果の解釈につながると考える.
遺伝子検査,染色体検査にはさまざまな検査項目があり,それぞれ染色体検査技術と遺伝子検査技術を用いて補完しながら検査を実施している(図1).
本稿では,「これは遺伝子検査? それとも染色体検査?」について材料や検査項目を挙げながら説明する.
参考文献
掲載誌情報