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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻3号

2015年03月発行

病気のはなし

人工関節感染症

著者: 松下和彦1 小山亮太2

所属機関: 1川崎市立多摩病院整形外科 2聖マリアンナ医科大学整形外科

ページ範囲:P.192 - P.196

文献概要

Point

●早期診断,早期治療が重要である.感染が疑われ関節液が貯留している場合は,早期に関節液を採取することが重要である.

●穿刺液のグラム(Gram)染色の結果より感染と判断されれば,直ちに病巣搔爬術を施行する.

●手術でインプラントを温存できるか否かはワン・チャンスである.グラム染色でグラム陽性球菌が認められれば,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)の可能性が高く,躊躇せずに抗MRSA薬を選択する.

●これらの治療によって感染が鎮静化しない場合は,インプラントを抜去して病巣搔爬する.感染が完全に鎮静したのち,2期的に再置換術を行う.

参考文献

1)日本人工関節学会(http://jsra.info/outline.html)
2)小早川宏典:実験的化膿性骨髄炎に関する研究.日整会誌 53:761-775,1979
3)Coventry MB : Treatment of infections occurring in total hip surgery. Orthop Clin North Am 6:991-1003,1975
4)山本謙吾,正岡利紀,石井良章,他:インプラント手術における手術部位感染の疫学.整形・災害外科 53:419-425,2010
5)和田野安良,林浩一郎:培養検査陰性の術後感染症.臨整外 18:991-996,1983
6)松下和彦,青木治人,嶋田甚五郎:現代医療における感染症の問題点とその対応.そして21世紀への進歩─人工関節などのインプラント.日内会誌 89:2273-2278,2000
7)松下和彦,佐藤琢哉,松本浩,他:生体材料・再建靱帯を温存できた多剤耐性菌による手術部位感染例の検討.日骨関節感染会誌 26:70-72,2012
8)日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,骨・関節術後感染予防ガイドライン策定委員会(編):骨・関節術後感染予防ガイドライン.南江堂,2006(http://minds.jcqhc.or.jp/)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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