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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻3号

2015年03月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈輸血〉

ミミッキング抗体への対応

著者: 国分寺晃1

所属機関: 1広島国際大学保健医療学部医療技術学科

ページ範囲:P.258 - P.263

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はじめに

 輸血療法の主な目的は,血液中の赤血球などの細胞成分や凝固因子などの蛋白質成分が量的に減少,または機能的に低下したときに,その成分を補充することによって臨床症状の改善を図ることにある.患者(受血者)については,不適合輸血を防ぐため,ABO血液型の検査,Rh(D)抗原の検査,不規則抗体スクリーニング,交差適合試験などを適切に実施する必要がある1)

 臨床的に意義のある不規則抗体については,日本輸血・細胞治療学会の「赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインについて」2)に不規則抗体の血液型特異性と輸血用血液の選択基準などが示されているものの,不規則抗体の判断には時として苦慮するところである.さらに,これまでの一般的な解釈とは異なったミミッキング抗体(mimicking antibodies)というものが検出・報告されており3〜7),その判断を複雑なものにしている.

 本稿では,そのミミッキング抗体の特性と,対応の方法について述べる.しかし,ミミッキング抗体そのものの成因が完全に解明されているものではないため,あくまで現行の知見の範疇であることをご承知おきいただきたい.

参考文献

1)日本赤十字社血液事業本部医薬情報課:「輸血療法の実施に関する指針」(改定版)及び「血液製剤の使用指針」(改定版).2005年9月(2012年3月一部改正)
2)赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン作成委員会:赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインについて.日輸血会誌 49(会報Ⅷ):398-402,2003
3)Fundenberg HH, Rosenfield RE, Wasserman LR : Unusual specificity of auto-antibody in auto-immune hemolytic diseases. J Mt Sinai Hosp N Y 25:324-329,1958
4)Issitt PD, Zellner DC, Rolih SD, et al : Autoantibodies mimicking alloantibodies. Transfusion 17:531-538,1977
5)Viggiano E, Clary NL, Ballas SK : Autoanti-K antibody mimicking an alloantibody. Transfusion 22:329-332,1982
6)Hsieh HY, Moroney D, Naumann D, et al : Warm autoimmune hemolytic anemia with mimicking anti-c and -E specificities. Immunohematology 18:19-22,2002
7)Puig N, Carbonell F, Soler MA, et al : Mimicking anti-S simulating a delayed transfusion reaction. Vox Sang 53:173-174,1987
8)Issitt PD : Serological Diagnosis and Characterization of the Causative Autoantibodies. Methods in Hematology 12:1-45,1985
9)Petz LD, Garratty G : Immune Hemolytic Anemias, 2nd ed. Churchill Livingstone, Philadelphia, 2004
10)Jang MJ, Cho D, Park KU, et al : Autoantibodies with mimicking specificity detected by the dilution technique in patients with warm autoantibodies. Ann Lab Med 33:343-348,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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