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世界敗血症デーに期待する
著者: 志馬伸朗12
所属機関: 1京都医療センター救命救急センター 2京都医療センター救命救急科
ページ範囲:P.428 - P.429
文献購入ページに移動近年の急性期医学は,生体防御能の低下した患者群(未熟低年齢者,高齢者,合併症を有する患者など)に対して,過大侵襲手術,体外式補助器具を用いた臓器補助,体内デバイス,あるいは抗癌化学療法や免疫抑制療法などを挑戦的に適応し,総体としての予後改善を目指してきた.これらは一方で,感染症の危険因子を有する患者群を生み出しているともいえる.
感染症とこれに続発して生じる全身性炎症反応である敗血症(sepsis),とりわけ臓器機能不全を伴った敗血症である重症敗血症(severe sepsis),ショックを伴った敗血症性ショック(septic shock)は,生命予後に影響する重要な病態である.国内外での大規模な疫学調査では,重症敗血症の死亡率は約30%に及ぶ1,2).発生率は年間1.5%ずつ増加し,総人口増加率を凌駕する患者数発生が見込まれる1).したがって,敗血症に対する治療戦略の確立は,全ての医療従事者にとっての最重要課題である.
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