文献詳細
文献概要
病気のはなし
卵巣腫瘍
著者: 安田政実1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
ページ範囲:P.448 - P.457
文献購入ページに移動Point
●卵巣腫瘍は“多種多様性”の代表格で,その根本は生殖器としての解剖・生理学的固有性に起因します.昨今,卵巣上皮性腫瘍はⅠ型とⅡ型に分けることが提唱されています.
●日本の卵巣癌は漿液性腺癌,明細胞腺癌,類内膜腺癌,粘液性腺癌の順に経験されます.明細胞腺癌や類内膜腺癌では子宮内膜症を背景に発生するものが少なくありません.
●浸潤は程度によって,「微小浸潤」と「明らかな浸潤」に分けられます.WHO2014分類では,微小浸潤は「長さ5mm」以下のものと定義されています.
●日本の境界悪性腫瘍は粘液性が大半で次に漿液性が続きますが,西欧ではこの順位が逆転します.特異な病態であるインプラントは漿液性境界悪性腫瘍でしばしばみられます.
●「新たな卵巣腫瘍発生説」では,従来,注目を浴びることのなかった卵管が“起源”ではないかと考えられるようになってきました.このような状況下,FIGO分類も2014年に改訂されました.
●卵巣腫瘍は“多種多様性”の代表格で,その根本は生殖器としての解剖・生理学的固有性に起因します.昨今,卵巣上皮性腫瘍はⅠ型とⅡ型に分けることが提唱されています.
●日本の卵巣癌は漿液性腺癌,明細胞腺癌,類内膜腺癌,粘液性腺癌の順に経験されます.明細胞腺癌や類内膜腺癌では子宮内膜症を背景に発生するものが少なくありません.
●浸潤は程度によって,「微小浸潤」と「明らかな浸潤」に分けられます.WHO2014分類では,微小浸潤は「長さ5mm」以下のものと定義されています.
●日本の境界悪性腫瘍は粘液性が大半で次に漿液性が続きますが,西欧ではこの順位が逆転します.特異な病態であるインプラントは漿液性境界悪性腫瘍でしばしばみられます.
●「新たな卵巣腫瘍発生説」では,従来,注目を浴びることのなかった卵管が“起源”ではないかと考えられるようになってきました.このような状況下,FIGO分類も2014年に改訂されました.
参考文献
1)Siegel R, Ma J, Zou Z, et al : Cancer statistics, 2014. CA Cancer J Clin 64:9-29,2014
2)Piek JM, van Diest PJ, Zweemer RP, et al : Dysplastic changes in prophylactically removed Fallopian tubes of women predisposed to developing ovarian cancer. J Pathol 195:451-456,2001
3)Kurman RJ, Shih IeM : Molecular pathogenesis and extraovarian origin of epithelial ovarian cancer-shifting the paradigm. Hum Pathol 42:918-931,2011
4)Longacre TA, Wells M : Tumours of the ovary. Kurman RJ, Carcangiu ML, Herrington CS, et al (eds) : WHO classification of tumours of the female reproductive organs. IARC Press, Lyon, pp11-86, 2014
5)Lee KR, Tavassoli FA, Prat J, et al : Tumours of the ovary and peritoneum. Tavassoli FA, Devilee, P (eds) : World Health Organization Classification of Tumours. IARC Press, Lyon, pp113-202, 2003
6)日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会:婦人科腫瘍委員会2012年度卵巣腫瘍患者年報.日産婦会誌 66:1024-1038,2014
7)Song T, Lee YY, Choi CH, et al : Histologic distribution of borderline ovarian tumors worldwide : a systematic review. J Gynecol Oncol 24:44-51,2013
8)Prat J : FIGO Committee on Gynecologic Oncology. Staging classification for cancer of the ovary, fallopian tube, and peritoneum. Int J Gynaecol Obstet 124:1-5,2014
掲載誌情報