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エボラ出血熱—現状と展望
著者: 岡部信彦1
所属機関: 1川崎市健康安全研究所
ページ範囲:P.662 - P.664
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エボラ出血熱〔WHO(World Health Organization)では,必ずしも出血症状を伴うわけではないので,エボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD)という表現をしている.以下,本文ではEVDとする〕は,1970年代より中央アフリカを中心に数年に1回くらいのアウトブレイクが発生しており,その点では新たに発生した感染症とは異なり,ウイルス,病態,感染経路などはある程度理解されているものといえる.しかし今回のように,西アフリカが中心で2万例以上の患者が発生した1)という大規模なアウトブレイクは歴史上初めてで,WHOは世界的な公衆衛生上の危機的な事象(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)として,パンデミックインフルエンザ(2009年),ポリオ(2014年)に次ぐ3回目の宣言を行っている2).
確かに,米国,スペイン,英国などでも少数の患者発生がみられたが,その他は西アフリカ諸国で,なおかつギニア,リベリア,シエラレオネの3カ国で99.9%の患者発生が集中しており1),世界中に拡大している疾患ではない.その点は新型インフルエンザの大流行(パンデミック)などとは異なった視点でみる必要がある.しかし,重症化率・致命率は高く,現地での患者発生のコントロール,そして世界への拡散を阻止するためには,現地での医療・公衆衛生のレベルアップ,そしてそれには国際的な理解と協力体制が必要である.
エボラ出血熱〔WHO(World Health Organization)では,必ずしも出血症状を伴うわけではないので,エボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD)という表現をしている.以下,本文ではEVDとする〕は,1970年代より中央アフリカを中心に数年に1回くらいのアウトブレイクが発生しており,その点では新たに発生した感染症とは異なり,ウイルス,病態,感染経路などはある程度理解されているものといえる.しかし今回のように,西アフリカが中心で2万例以上の患者が発生した1)という大規模なアウトブレイクは歴史上初めてで,WHOは世界的な公衆衛生上の危機的な事象(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)として,パンデミックインフルエンザ(2009年),ポリオ(2014年)に次ぐ3回目の宣言を行っている2).
確かに,米国,スペイン,英国などでも少数の患者発生がみられたが,その他は西アフリカ諸国で,なおかつギニア,リベリア,シエラレオネの3カ国で99.9%の患者発生が集中しており1),世界中に拡大している疾患ではない.その点は新型インフルエンザの大流行(パンデミック)などとは異なった視点でみる必要がある.しかし,重症化率・致命率は高く,現地での患者発生のコントロール,そして世界への拡散を阻止するためには,現地での医療・公衆衛生のレベルアップ,そしてそれには国際的な理解と協力体制が必要である.
参考文献
1)World Health Organization : Ebola situation reports-archive (http://apps.who.int/ebola/en/ebola-situation-reports-archive)(2015年6月15日アクセス)
2)World Health Organization : IHR committees and expert roster (http://www.who.int/ihr/procedures/ihr_committees/en/)(2015年6月15日アクセス)
3)一般社団法人日本環境感染学会エボラ出血熱対策委員会(委員長・川名明彦,筆者はアドバイザーとして参画)(http://www.kankyokansen.org/modules/iinkai/index.php?content_id=10)(2015年6月15日アクセス)
4)Australian Government Department of Health October 2014 : Laboratory Procedures and Precautions for Samples Collected from Patients with Viral Haemorrhagic Fevers. Part A : Guidelines for laboratories that are not associated with a designated isolation hospital (http://www.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/7CF7E2549BD8962DCA257BF0001D7B8C/$File/PHLN-EVD-Guidelines-Part-A.pdf)(2015年6月15日アクセス)
5)Australian Government Department of Health October 2014 : Laboratory Procedures and Precautions for Samples Collected from Patients with Viral Haemorrhagic Fevers. Part B : Guidelines for laboratories that are associated with a designated isolation hospital (http://www.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/7CF7E2549BD8962DCA257BF0001D7B8C/$File/PHLN-Guidelines-Part-B.pdf)(2015年6月15日アクセス)
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