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クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)
著者: 八木田健司1 朝日博子1
所属機関: 1国立感染症研究所寄生動物部
ページ範囲:P.756 - P.758
文献購入ページに移動魚の生食・刺し身の消費が日常的なわが国において,クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)という耳慣れない魚類の寄生虫による新しい食中毒が注目を集めている.
魚類を宿主とする粘液胞子虫類Myxozoaに分類されるクドア(Kudoa)属(以下,クドア)は,従来,ヒトには無害とされており,感染した魚体が死後筋肉融解を引き起こす“ジェリーミート”の問題,また筋肉内に目に見える大きさのシスト(胞子の集塊)が散在することで商品価値が損なわれるなど,クドア問題は専ら水産的,経済的側面にあった.それだけに,ヒラメの寄生虫クドアがヒトの健康に影響を及ぼすという問題のインパクトは大きく,食品衛生行政も直ちに動いたという経緯がある.
本稿ではこれまで保健,医学の面では情報の少なかったクドアについて,K. septempunctataを中心に,その食中毒の現状,クドアの特徴と検査,クドア問題の今後について概説する.
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