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検査と技術43巻9号

2015年09月発行

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トピックス

クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)

著者: 八木田健司1 朝日博子1

所属機関: 1国立感染症研究所寄生動物部

ページ範囲:P.756 - P.758

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はじめに

 魚の生食・刺し身の消費が日常的なわが国において,クドア・セプテンプンクタータ(Kudoa septempunctata)という耳慣れない魚類の寄生虫による新しい食中毒が注目を集めている.

 魚類を宿主とする粘液胞子虫類Myxozoaに分類されるクドア(Kudoa)属(以下,クドア)は,従来,ヒトには無害とされており,感染した魚体が死後筋肉融解を引き起こす“ジェリーミート”の問題,また筋肉内に目に見える大きさのシスト(胞子の集塊)が散在することで商品価値が損なわれるなど,クドア問題は専ら水産的,経済的側面にあった.それだけに,ヒラメの寄生虫クドアがヒトの健康に影響を及ぼすという問題のインパクトは大きく,食品衛生行政も直ちに動いたという経緯がある.

 本稿ではこれまで保健,医学の面では情報の少なかったクドアについて,K. septempunctataを中心に,その食中毒の現状,クドアの特徴と検査,クドア問題の今後について概説する.

参考文献

1)大西貴弘:Kudoa septempunctataを原因微生物とする食中毒.食衛研 61:13-20,2011
2)厚生労働省医薬食品局食品安全部長:生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例への対応について 平成23年6月17日 食安発0617第3号,2011
3)厚生労働省:食中毒統計資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)(2015年6月17日アクセス)
4)大西貴弘:クドア・セプテンプンクタータ.食品衛生検査指針,微生物編2015.日本食品衛生協会,pp791-799,2015
5)鈴木淳,村田理恵,貞升健志,他:東京都内で発生したクドアが原因と考えられる下痢症について.病原微生物検出情報 33:7-9,2012
6)Suzuki J, Murata R, Yokoyama H, et al : Detection rate of diarrhoea-causing Kudoa hexapunctata in Pacific bluefin tuna Thunnus orientalis from Japanese waters. Int J Food Microbiol 194:1-6,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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