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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻1号

2016年01月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

室温放置検体の血算値に注意!

著者: 牧俊哉1

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院検査部

ページ範囲:P.75 - P.77

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はじめに

 自動血球分析装置を用いた血算(complete blood count:CBC)の測定項目には,機器の整備と日常精度管理を正しく行っても検査結果が正確に得られない誤差要因による落とし穴(ピットフォール)がたくさんある.それは,再検査で確認できることが多い生化学検査などの場合と異なり,患者の病態による要因,採血手技による要因,測定原理など検査法による要因によって起こり,CBCに特有なものも多い.それら要因と対策を表1にまとめた1).ここでは特に室温保存(20〜25℃くらい)で起こる誤差要因と対策について説明する.

 CBCの抗凝固剤はエチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid:EDTA)塩が用いられる.CBCの抗凝固剤の条件としては,粉末であり,安定性が高く,使用濃度の浸透圧が血球とほぼ同程度であり,形態学的変化や染色性の変化を起こさないことが挙げられる.EDTA-2K,3KあるいはEDTA-2Naがあるが,高い水溶性から2K,3Kが用いられることが多い.CBCは5時間以内に測定,血液塗抹標本作製は遅くとも4時間以内に行うことが望ましい.CBCを5時間以内に測定できない場合は,冷蔵保存(4℃)しておく2)

参考文献

1)桑島実:血液一般検査─血液一般検査サンプリングの誤差要因と対策.臨病理 103:115-122,1996
2)三島清司:検体の採取と保存.日本検査血液学会(編):スタンダード検査血液学,第3版.医歯薬出版,pp69-78,2014
3)浜口行雄,米田光広,織辺紀芳,他:採血後の経時変化について(ヘマトクリット値の経時変化を中心に).Sysmex J 7:124-132,1984

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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