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メガリンと腎臓病の診断・治療
著者: 斎藤亮彦1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座
ページ範囲:P.1134 - P.1136
文献購入ページに移動メガリンは,膜性腎症(ネフローゼ症候群のひとつの原因疾患)のラットモデルであるHeymann腎炎の糸球体上皮細胞(ポドサイト)上の責任抗原gp330として同定され,1994年に筆者ら1)によりcDNAの全構造がクローニングされた.糖鎖修飾も加えると,実際の分子量は約600kDaに及ぶ巨大蛋白質である.LDL(low density lipoprotein)受容体ファミリーに所属する1回膜貫通型蛋白質であり,巨大な細胞外領域に特徴的なリピート配列からなるリガンド結合領域をもつ.メガリンは,ラット以外の種ではポドサイトには存在せず(あるいは発現量が極めて少なく),腎臓では近位尿細管の管腔側膜に高発現し,糸球体を濾過した蛋白質を主とするさまざまなリガンドの細胞内取り込み・代謝(エンドサイトーシス)を担っている2)(図1).また,近位尿細管細胞に発現する他のトランスポーターなどと共役し,さまざまな機能に関与する.その他,メガリンは,内耳,眼,脳,肺胞,性腺,胎盤などにも発現している.その遺伝子異常によって,Donnai-Barrow/facio-oculo-acoustico-renal症候群が発症することが知られている.
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