icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻12号

2016年11月発行

文献概要

トピックス

メガリンと腎臓病の診断・治療

著者: 斎藤亮彦1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科 機能分子医学講座

ページ範囲:P.1134 - P.1136

文献購入ページに移動
メガリンとは

 メガリンは,膜性腎症(ネフローゼ症候群のひとつの原因疾患)のラットモデルであるHeymann腎炎の糸球体上皮細胞(ポドサイト)上の責任抗原gp330として同定され,1994年に筆者ら1)によりcDNAの全構造がクローニングされた.糖鎖修飾も加えると,実際の分子量は約600kDaに及ぶ巨大蛋白質である.LDL(low density lipoprotein)受容体ファミリーに所属する1回膜貫通型蛋白質であり,巨大な細胞外領域に特徴的なリピート配列からなるリガンド結合領域をもつ.メガリンは,ラット以外の種ではポドサイトには存在せず(あるいは発現量が極めて少なく),腎臓では近位尿細管の管腔側膜に高発現し,糸球体を濾過した蛋白質を主とするさまざまなリガンドの細胞内取り込み・代謝(エンドサイトーシス)を担っている2)(図1).また,近位尿細管細胞に発現する他のトランスポーターなどと共役し,さまざまな機能に関与する.その他,メガリンは,内耳,眼,脳,肺胞,性腺,胎盤などにも発現している.その遺伝子異常によって,Donnai-Barrow/facio-oculo-acoustico-renal症候群が発症することが知られている.

参考文献

1)Saito A, Pietromonaco S, Loo AK, et al : Complete cloning and sequencing of rat gp 330/“megalin,”a distinctive member of the low density lipoprotein receptor gene family. Proc Natl Acad Sci USA 91:9725-9729,1994
2)桑原頌治,細島康宏,忰田亮平,他:近位尿細管細胞と蛋白尿.腎と透析 81:54-58,2016
3)Ogasawara S, Hosojima M, Kaseda R, et al : Significance of urinary full-length and ectodomain forms of megalin in patients with type 2 diabetes. Diabetes Care 35:1112-1118,2012
4)斎藤亮彦:腎・尿路系疾患の新規バイオマーカーの開発に向けた尿中細胞外小胞の応用.医のあゆみ 255:209-213,2015
5)Seki T, Asanuma K, Asao R, et al : Significance of urinary full-length megalin in patients with IgA nephropathy. PLoS One 9:e114400,2014
6)Kuwahara S, Hosojima M, Kaneko R, et al : Megalin-Mediated Tubuloglomerular Alterations in High-Fat Diet-Induced Kidney Disease. J Am Soc Nephrol 27:1996-2008,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?