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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻12号

2016年11月発行

文献概要

技術講座 血液

リンパ球系細胞の見方—異型リンパ球と異常リンパ球の違い

著者: 阿南建一12

所属機関: 1福岡大学医学部腫瘍血液感染症内科学 2日本小児白血病リンパ腫研究グループ

ページ範囲:P.1150 - P.1156

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Point

●普通染色標本におけるリンパ球の形態は,骨髄ではリンパ球系幹細胞から分化・成熟をたどるリンパ芽球,前リンパ球,リンパ球の形態に着眼し,末梢血ではリンパ球,異型リンパ球,異常リンパ球に着眼します.

●末梢血のリンパ球については,量的異常と質的異常の有無に始まり,反応性もしくは腫瘍性変化を捉える必要があります.反応性変化は一過性の多彩様式の細胞分布を示すのに対し,腫瘍性変化は持続性の単一様式を示します.

●リンパ球系疾患の診断には,リンパ節腫大に伴って増殖したリンパ球の骨髄浸潤の有無や浸潤細胞の反応性,腫瘍性変化を捉えます.反応性変化の多くはリンパ球・異型リンパ球であり,腫瘍性変化は異常リンパ球が範疇とされます.

●異常リンパ球は異型リンパ球に比べ,①N/C比が高い,②核形不整が顕著,③核小体が明瞭,④空胞や突起物の存在,⑤単一様式を示すことなどに着眼して鑑別します.

参考文献

1)阿南建一,亀岡孝則,須田正洋:形態学からせまる血液疾患.近代出版,pp184-185,pp469-472,1999
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3)熊坂一成,土屋達行 :症例から学ぶ血液像の見方・考え方.医歯薬出版,1982
4)阿南建一,亀岡孝則,須田正洋(監修):エビデンス血液形態学.近代出版,pp2-11,pp13-18,pp58-62,2014
5)Downey H, Stasney J : The pathology of the lymph nodes in infectious mononucleosis. Folia Haemat 54:417-438,1936
6)西国広,亀岡孝則(編著):血液形態観察のすすめ方.近代出版,pp32-33,1987
7)阿南建一,三浦偉久男:形態異常の定義は? 松村到(編著):白血病診療Q&A.中外医学社,pp23-32,2015
8)土屋達行,阿南建一,亀井喜恵子,他:細胞分類標準化における異型リンパ球判定とその問題点.日検血会誌 5:77-81,2004
9)Swerdlow SH, Campo E, Harris, NL, et al(ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid tissues. IARC, Lyon, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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