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定期接種化されるB型肝炎ワクチン
著者: 酒井愛子1 須磨崎亮1
所属機関: 1筑波大学小児科
ページ範囲:P.1226 - P.1228
文献購入ページに移動B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)は,乳幼児期に感染すると持続感染(キャリア化)しやすく,長期の経過を経て慢性肝炎,肝硬変,肝癌の原因となる(図1)1).さらに近年,若年成人で欧米型の遺伝子型Aによる急性肝炎が増えており,この場合,成人でも7.5%はキャリア化する2).現在,日本には,約100万人のHBVキャリアが存在する.また,一過性感染後に血液検査でHBV-DNAやHBs(hepatitis B surface)抗原が検出されなくなっても,肝細胞内にウイルスが残存し,抗癌剤や免疫抑制剤の使用により再活性化することが明らかとなった.したがって,いったんHBVに感染すると,生涯にわたり再活性化など何らかのリスクを負う,とみなされるようになってきた.
感染経路は,母子垂直感染と水平感染に分けられる.水平感染では,血液を介した医療関連感染や性感染が広く知られているが,近年の研究で汗,唾液など体液にも感染性のウイルスが存在することが証明され,実際に,保育園や家族内,相撲やアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで,少数例ではあるが,体液によると推定される感染事例の報告もある.
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