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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻13号

2016年12月発行

文献概要

トピックス

定期接種化されるB型肝炎ワクチン

著者: 酒井愛子1 須磨崎亮1

所属機関: 1筑波大学小児科

ページ範囲:P.1226 - P.1228

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B型肝炎ウイルス感染症

 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)は,乳幼児期に感染すると持続感染(キャリア化)しやすく,長期の経過を経て慢性肝炎,肝硬変,肝癌の原因となる(図1)1).さらに近年,若年成人で欧米型の遺伝子型Aによる急性肝炎が増えており,この場合,成人でも7.5%はキャリア化する2).現在,日本には,約100万人のHBVキャリアが存在する.また,一過性感染後に血液検査でHBV-DNAやHBs(hepatitis B surface)抗原が検出されなくなっても,肝細胞内にウイルスが残存し,抗癌剤や免疫抑制剤の使用により再活性化することが明らかとなった.したがって,いったんHBVに感染すると,生涯にわたり再活性化など何らかのリスクを負う,とみなされるようになってきた.

 感染経路は,母子垂直感染と水平感染に分けられる.水平感染では,血液を介した医療関連感染や性感染が広く知られているが,近年の研究で汗,唾液など体液にも感染性のウイルスが存在することが証明され,実際に,保育園や家族内,相撲やアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで,少数例ではあるが,体液によると推定される感染事例の報告もある.

参考文献

1)国立感染症研究所:B型肝炎ワクチンに関するファクトシート,平成22年7月7日版
2)Ito K, Yotsuyanagi H, Yatsuhashi H, et al : Risk factors for long-term persistence of serum hepatitis B surface antigen following acute hepatitis B virus infection in Japanese adults. Hepatology 59:89-97,2014
3)白木和夫:わが国におけるB型肝炎母子感染防止の経緯とuniversal vaccinationの必要性について.小児感染免疫 21:149-157,2009
4)須磨崎亮:厚生労働科学研究費補助金 肝炎等克服対策研究事業 「小児におけるB型肝炎の水平感染の実態把握とワクチン戦略の再構築に関する研究」総合研究報告書,平成25〜27年度
5)日本小児科学会:B型肝炎ウイルス母子感染予防のための新しい指針,2013(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=141)(2016年9月6日アクセス)
6)Schillie S, Murphy TV, Sawyer M, et al : Centers for Disease Control and Prevention (CDC). CDC guidance for evaluating health-care personnel for hepatitis B virus protection and for administering postexposure management. MMWR Recomm Rep 62:1-19,2013
7)日本環境感染学会:医療関係者のためのワクチンガイドライン,第2版.環境感染誌 29(Suppl Ⅲ),2014(http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=17)(2016年9月6日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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