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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻13号

2016年12月発行

文献概要

オピニオン

認定病理検査技師の進むべき方向性

著者: 滝野寿12

所属機関: 1一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 2名古屋市立大学大学院医学研究科

ページ範囲:P.1284 - P.1285

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はじめに

 病理診断に携わる病理技師は,「標準化された精度の高い病理標本の作製技術を身につけること」を最も求められており,それを維持し,後進に伝えていくことが使命である.さらに病理技師は,病理学のみならず臨床検査技師としての基本的な素養(技術と知識)を基盤としながら,さらに病理技師としての専門的知識・特殊技術を習熟することが必要である.一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)では,平成26(2014)年度より,新たに“認定病理検査技師制度”を設立した.第1回209名(試験合格率89.3%),第2回182名(試験合格率79.5%),合計391名の認定病理検査技師を世に輩出してきた.

 病理診断部門が医療のなかで果たす役割は非常に大きい.厚生労働省は,がん診療連携拠点病院における診療体制の向上や,基本的癌診療のさらなる均霑化などを図るため,がん診療拠点病院の指定要件の強化を図っている.将来的に,このがん診療連携拠点病院などの“診療従事者”要件中に認定病理検査技師を含めるよう働きかけているところである.

 平成26(2014)年,一般社団法人日本病理学会(以下,病理学会)を中心として,病理診断の質を保証することを目的として“NPO法人日本病理精度保証機構(Japan Pathology Quality Assurance System:JPQAS)”が設立された.設立当初より日臨技から2名の理事,1名の社員を派遣し,ほかにも9名の臨床検査技師が委員として活動をともにしている.このように精度管理・標準化事業と認定制度を共通のツールとして,病理学会と日臨技は,職能団体同士の良好な協調関係を築きはじめた.すなわち,病理医と病理技師が協力体制を強固にすることにより,国民に対して“最終診断”を担う責務を十分に果たしていくことができるものと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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