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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻2号

2016年02月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

造影剤投与後の臨床検査値の解釈に注意

著者: 熊倉久夫1

所属機関: 1北関東循環器病院血管病センター

ページ範囲:P.160 - P.161

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はじめに

 臨床的に頻繁に用いられる画像診断用の造影剤は,画像診断の情報量を増すために使用されるものである.これらのX線造影剤やMRI造影剤を投与した患者から検査直後に採血した場合,臨床検査値にはなんらかの影響が現れるのか.あるいは,X線造影剤やMRI造影剤を投与した翌日に採血した場合の影響はどうなのか.こうした問題は,臨床の現場ではしばしば経験する.

 患者の治療経過の評価のためや経時的な病態の変化を確認する目的で,短い期間に繰り返し同じ検査を施行することが必要となる疾患が非常に多い.また,患者が外来検査を受けに来る場合では,血液検査と複数の画像診断検査を同日に実施することが日常頻繁に行われている.しかし,造影剤の添付文書の「臨床検査結果に及ぼす影響」にはわずかな記載があるのみで,造影検査の実施間隔や検査順に関する記載はほとんどない1)

 今回は,造影剤の体内動態,臨床検査値への影響,適切な採血時期について考えてみたい.

参考文献

1)林宏光,早川克己,鳴海善文,他:同一患者に対し複数の造影検査を行う場合に考慮すべき事項.臨床画像 24:104-111,2008
2)三宅康弘,荒井保明,遠藤登喜子,他:低浸透圧造影剤Ioxaglate 300静注例における血液,腎機能検査データの検討.日画像医誌 8:134-142,1989
3)熊倉久夫,市川秀一,田島義博,他:造影剤投与時の血中ホルモン,電解質および各種血球数の動態─Iopamidol, Iohexol, Ioxaglateの比較.脈管学 32:623-627,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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