検査と技術44巻3号

2016年03月発行

臨床検査のピットフォール

慢性血液透析患者における鉄動態のピットフォール

著者： 澤田朝寛¹

所属機関： ¹順天堂大学医学部附属浦安病院臨床検査医学科

ページ範囲：P.242 - P.245

はじめに

　慢性血液透析（hemodialysis：HD）患者における腎性貧血は，治療薬として1990年より遺伝子組換えヒトエリスロポエチン（recombinant human erythropoietin：rHuEPO）が保険適用となってから著明に改善した．一方で，HD患者における鉄動態は複雑であり，rHuEPO低反応性患者に対する至適鉄投与指標がないなど，新たな問題が提起されている．本稿では，HD患者における鉄動態評価について解説する．

参考文献

1）小船雅義，加藤淳二：生体鉄代謝調節の分子機構．臨検　56：1033-1037，2012

2）2008年版日本透析医学会：慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン．日透析医学会誌　41：661-716，2008

3）加藤明彦：鉄欠乏の判断と鉄補給．臨透析　24：37-46，2008

4）澤田朝寛，喜納勝成，千木良紀子，他：貧血「古くて新しい病気，貧血を見直す」　網赤血球ヘモグロビン量．日検血会誌　8：228-232，2007

5）岡野裕子，土谷健，安藤稔，他：慢性透析患者における網赤血球ヘモグロビン含量（CHr）測定の意義．日透析医学会誌　34：1079-1087，2001