文献詳細
臨床医からの質問に答える
IgG4関連疾患において総IgG値とサブクラス値の総和に違いが認められるとき,何が考えられますか?
著者: 井本真由美1
所属機関: 1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.246 - P.248
文献概要
ヒト血清IgGには,その構造上の違いからIgG1,IgG2,IgG3およびIgG4の4つのサブクラスが存在し,その機能も異なっています1).総IgGに占める割合および濃度を表1に示しますが,IgGサブクラスの主要な測定意義は,易感染性を引き起こす病態としてのIgGサブクラス欠乏症の診断になります.IgG4はアレルギー疾患や寄生虫感染症で増加し,IgEの免疫反応を阻止することが主な意義とされてきましたが,測定されることはまれでした2).
近年,IgG4関連疾患という概念が認識されるようになり,IgG4測定に保険点数がつけられ,本年3月には,IgG2も保険収載されるようになりました.しかし,サブクラス全ての定量が保険収載されているわけではありません.総IgGとサブクラス値の総和との乖離に対しても,検査センターに問い合わせする程度で精査されることはありませんでした.ここでは,IgG4関連疾患などでIgGサブクラスのバランスが崩れるときに,総IgG値とサブクラスの総和が乖離する理由について述べます.
参考文献
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