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新しい簡易感覚知覚閾値検査機器の原理と運用
著者: 湯浅薫1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.285 - P.288
文献購入ページに移動はじめに
わが国の糖尿病患者数は,糖尿病疑いも含めると2,000万人を超える1).糖尿病多発性神経障害(diabetic polyneuropathy:DPN)は,糖尿病の合併症中最も早期から発症し,種々の臓器障害や併発症の重大な促進因子である.DPNは糖尿病患者の直接死因として取りざたされることは少ないが,神経障害性足病変による下肢切断患者は,わが国では年間3,000例といわれている2).したがって,患者の生活の質(quality of life:QOL)の維持には,早期の治療介入が,改善と進行の抑制に重要である.しかし,DPNは糖尿病の診断時にすでに10%近くに認められる.またDPNの診断は,自覚症状やアキレス腱反射および振動覚閾値を用いた理学所見の結果が診断基準になって,総合的に判断がされる.実際に,患者が軽度の知覚低下を訴えることは少なく,理学所見に頼っているのが現状である.より客観的な診断をするためには,感覚神経検査を実施することが必要である3).
しかし,従来からの検査では時間を要し,糖尿病患者の全てに実施することは困難であった.そこで今回,簡易感覚知覚閾値検査機器による検査を経験したので紹介する.
わが国の糖尿病患者数は,糖尿病疑いも含めると2,000万人を超える1).糖尿病多発性神経障害(diabetic polyneuropathy:DPN)は,糖尿病の合併症中最も早期から発症し,種々の臓器障害や併発症の重大な促進因子である.DPNは糖尿病患者の直接死因として取りざたされることは少ないが,神経障害性足病変による下肢切断患者は,わが国では年間3,000例といわれている2).したがって,患者の生活の質(quality of life:QOL)の維持には,早期の治療介入が,改善と進行の抑制に重要である.しかし,DPNは糖尿病の診断時にすでに10%近くに認められる.またDPNの診断は,自覚症状やアキレス腱反射および振動覚閾値を用いた理学所見の結果が診断基準になって,総合的に判断がされる.実際に,患者が軽度の知覚低下を訴えることは少なく,理学所見に頼っているのが現状である.より客観的な診断をするためには,感覚神経検査を実施することが必要である3).
しかし,従来からの検査では時間を要し,糖尿病患者の全てに実施することは困難であった.そこで今回,簡易感覚知覚閾値検査機器による検査を経験したので紹介する.
参考文献
1) 厚生労働省:平成24年国民健康・栄養調査結果の概要 第1章 糖尿病に関する状況 2.「糖尿病が強く疑われる者」,「糖尿病の可能性を否定できない者」の推計人数,2013
2) 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会:糖尿病対策推進啓発用スライド,2008
3) 馬場正之:神経伝導検査による糖尿病性神経障害の重症度診断.臨神生 41:143-150,2013
4) 島津秀昭,瀬野晋一郎,加藤幸子,他:電気刺激を利用した痛み定量計測法の開発と実験的痛みによる評価.生体医工学 43:117-123,2005
5) 日本糖尿病対策推進会議:日本糖尿病対策推進会議(2008)における糖尿病患者の足外観異常および糖尿病神経障害の実態に関する報告,2008
6) 安田斎:糖尿病性ニューロパチーの病態と治療.臨神経 49:149-157,2009
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