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FOCUS
新規前立腺癌バイオマーカーの探索
著者: 寺田直樹1 小川修1
所属機関: 1京都大学医学部泌尿器科
ページ範囲:P.370 - P.373
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近年,前立腺癌患者の数は激増しており,2015年のわが国における癌統計予測では,前立腺癌罹患者数は男性の全癌腫のなかで第1位となった1).前立腺癌患者数がこれだけ増加している原因として,高齢化や食生活の欧米化などが挙げられるが,最も影響を及ぼしているのは血中前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)検査の普及であろう.本稿では,まずPSA検査の有用性と問題点について言及し,それらの問題点を解決するための新規バイオマーカー探索について,筆者らが現在行っている手法を中心に紹介する.
近年,前立腺癌患者の数は激増しており,2015年のわが国における癌統計予測では,前立腺癌罹患者数は男性の全癌腫のなかで第1位となった1).前立腺癌患者数がこれだけ増加している原因として,高齢化や食生活の欧米化などが挙げられるが,最も影響を及ぼしているのは血中前立腺特異抗原(prostate specific antigen:PSA)検査の普及であろう.本稿では,まずPSA検査の有用性と問題点について言及し,それらの問題点を解決するための新規バイオマーカー探索について,筆者らが現在行っている手法を中心に紹介する.
参考文献
1)国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター:2015年のがん統計予測(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html)(2016年1月19日アクセス)
2)日本泌尿器科学会(編):前立腺癌診療ガイドライン2012年版.金原出版,2012
3)前立腺がん撲滅推進委員会・財団法人前立腺研究財団:広域研究:日本における前立腺がん検診の広域研究.対象研究:前立腺がん検診の死亡率減少効果に関する検証研究:総括報告書,平成13〜17年度.前立腺研究財団,2011
4)Nakayama K, Inoue T, Sekiya S, et al : The C-terminal fragment of prostate-specific antigen, a 2331 Da peptide, as a new urinary pathognomonic biomarker candidate for diagnosing prostate cancer. PLoS One 9:e107234,2014
5)Goto T, Terada N, Inoue T, et al : The expression profile of phosphatidylinositol in high spatial resolution imaging mass spectrometry as a potential biomarker for prostate cancer. PLoS One 9:e90242,2014
6)Goto T, Terada N, Inoue T, et al : Decreased expression of lysophosphatidylcholine (16:0/OH) in high resolution imaging mass spectrometry independently predicts biochemical recurrence after surgical treatment for prostate cancer. Prostate 75:1821-1830,2015
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