icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻5号

2016年05月発行

文献概要

オピニオン

微生物検査における検体採取の重要性

著者: 山本剛1

所属機関: 1西神戸医療センター臨床検査技術部

ページ範囲:P.420 - P.421

文献購入ページに移動
適切な検体採取の重要性

 微生物検査にかかわらず,臨床検査を行ううえで不適切な検体採取が行われた場合は,“見かけ上の異常値”として結果報告される.“見かけの異常値”とは,異常値があるのに正常値になり,正常値なのに異常値として捉えられる臨床検査特有のエラー事象のことであるが,血液検査では,採血手技による溶血や抗凝固剤の選択,保存条件の不良などが原因となる.微生物検査では,不適切な検体採取により,雑菌が多く混入したり菌量が少なく培養で検出されないなどの理由で,起炎菌の判断がしにくくなることが想定される.その結果,不必要な抗菌薬の投与が行われたり,広域抗菌薬を使用する頻度が高くなったりし,本当は不必要だが過剰な抗菌薬投与を行うことも想定され,その後の診療方針に大きな影響を与えてしまうことになる.不適切な検体採取が行われれば,どれだけ有能な微生物検査技師をそろえても,どれだけ高度な検査機器を設置しても,正しい検査結果を導くことは困難である.

参考文献

1)Linscott AJ : Specimen Collection Transport, and Acceptability. Garcia LS (ed) : Clinical Microbiology Procedure Handbook, 3rd edition, Vol 1. AMS Press, Washington DC, pp2.1.1-2.1, 30, 2010
2)厚生労働省:診療放射線技師法及び臨床検査技師等に関する法律の一部改正の施行等について.厚生労働省医政局医事課長通知(医制医発0331第2号 平成27年3月31日),2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?