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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻5号

2016年05月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

病理標本(パラフィンブロックやプレパラート)はどれくらいの期間保存されていて,それを使用することができますか? 

著者: 田島秀昭1 當銘良也3 稲留征典2 小野栄夫1

所属機関: 1国立病院機構水戸医療センター臨床検査科 2国立病院機構水戸医療センター病理診断科 3つくば国際大学医療保健学部臨床検査学科

ページ範囲:P.422 - P.425

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はじめに

 コンパニオン診断や分子生物学的手法がますます発達する今日では,過去の病理標本を使用する頻度が高くなり,病理標本の適切かつ長期保存が望まれている.しかしながら,パラフィンブロックやプレパラートなどの病理標本の保存義務や保存期間などを明確に定めた法的規定はなく,保存方法および保存期間は各施設の裁量に委ねられているのが現状である.したがって,「パラフィンブロックやプレパラートは何年間保存すべきか?」と問われた際には,回答に困ってしまうことも少なくない.

 本稿では病理標本の保存義務や保存期間に関する現状と,保存された病理標本の有用性について,文献的考察を併せて記載する.

参考文献

1)日本病理学会理事会・倫理委員会:患者に由来する病理検体の保管・管理・利用に関する日本病理学会倫理委員会の見解.平成17年4月,2005(http://pathology.or.jp/jigyou/shishin/guideline-20050401.html)(2016年1月12日アクセス)
2)外科関連学会協議会:「患者の病理検体(生検・細胞診・手術標本)の取扱い指針」について.平成17年5月17日,2005(http://pathology.or.jp/jigyou/shishin/guideline-090114.html)(2016年1月12日アクセス)
3)日本病理学会倫理委員会・理事会:病理解剖の倫理的課題に関する提言.平成13年11月26日,2001
4)木村哲(研究代表者):厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業 診療行為に関連した死亡の調査分析に従事する者の育成及び資質向上のための手法に関する研究.解剖調査実施マニュアル案(2009年度版),p12,2009(http://www.medsafe.jp/pdf/ininfo_manual_1.pdf)(2016年2月1日アクセス)
5)乳癌HER2検査病理部会:HER2検査ガイド 乳癌編,第4版.乳癌HER2検査病理部会,2014
6)柴田典子,矢田部恭:EGFR.臨検 57:248-255,2013
7)濱川真治:固定法,保存法,抗原賦活法が染色に与える影響.Med Technol 12:1269-1273,2009
8)畑中豊:パラフィンブロック中の遺伝子はどのくらいの期間保たれるのでしょうか? Med Technol 43:1050-1051,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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