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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻6号

2016年06月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

肺癌EGFR遺伝子変異検査におけるピットフォール

著者: 安孫子光春1

所属機関: 1北海道大学病院病理部

ページ範囲:P.508 - P.510

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はじめに

 上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異検査は,非小細胞肺癌,特に腺癌におけるコンパニオン診断として実施され,分子標的薬の治療効果予測に用いられている.

 EGFRは,細胞膜を貫通する膜貫通型受容体であり,腫瘍化との関連性が示唆され,研究が進められてきた分子である.

 このEGFRの細胞外ドメインにリガンド(上皮成長因子など)が結合することにより,細胞内ドメインのチロキシナーゼ(tyrosine kinase:TK)が活性化,すなわちリン酸化され,細胞の増殖,形質転換の亢進,またアポトーシスの抑制が起こり,細胞の癌化を促進させるといわれている.

 非小細胞肺癌における分子標的薬であるEGFR-TK阻害剤(ゲフィチニブや,エルロチニブ)投与の適否は,EGFR遺伝子変異の部位や種類によって異なるため,それらの検出が可能なEGFR遺伝子変異検査が必要となる.

 この検査に提出される検体の量的,質的状態によっては,解析結果に影響を及ぼす場合も考えられ,その取り扱い方は重要である.

参考文献

1)日本臨床検査標準協議会・遺伝子関連検査標準化専門委員会(編):遺伝子関連検査・検体品質管理マニュアル.学術広告社,2009
1)畑中豊:特集Q&Aで学ぶ病理・細胞診領域における遺伝子検査の基本 2.検体の取り扱い.Med Technol 43:1045-1051,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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