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連載 忘れられない症例から学ぶ超音波検査・11
心サルコイドーシス(sarcoid cardiomyopathy)
著者: 飯伏義弘1
所属機関: 1広島市立病院機構広島市立広島市民病院 臨床検査部
ページ範囲:P.612 - P.619
文献購入ページに移動はじめに
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で,その病理像は類上皮細胞肉芽腫を特徴とします.若年(20〜30代)と中年(40〜50代)に好発し,肺,眼,皮膚の罹患が多いですが,神経,心臓,筋,腎,骨,消化管などの多くの臓器に罹患する可能性があります.診断に際しての基本は,病理学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認することですが,浸潤性疾患のなかでも局在性の高い疾患で,皮膚病変以外での病理診断の確定診断率の低い疾患です.心内膜生検の診断率は19%程度とされているため1),画像診断が診断の大きな役割を担います.
心サルコイドーシスは,サルコイドーシスのなかでも,生命の危機となる重篤な不整脈から診断に至る場合が多く,診断に至れば厳重な管理が必要となる疾患です.全身性サルコイドーシスのなかで,心サルコイドーシスの合併率は5〜10%程度とされていますが,病理解剖からの検討では,小さなものも含めると,全身性サルコイドーシスの約70%に心病変を認めるとも報告されています2).このように,全身性の浸潤疾患の一部である心サルコイドーシスの確定診断は困難な場合があります.心臓超音波検査でのカットオフに至らなくても,心サルコイドーシスの早期所見である可能性はあり,その他の画像診断と合わせて確実に診断し,治療に生かすことが重要です.
今回は,心サルコイドーシスの診断において,その他の画像診断が重要であった症例を経験したので,振り返ってみたいと思います.
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で,その病理像は類上皮細胞肉芽腫を特徴とします.若年(20〜30代)と中年(40〜50代)に好発し,肺,眼,皮膚の罹患が多いですが,神経,心臓,筋,腎,骨,消化管などの多くの臓器に罹患する可能性があります.診断に際しての基本は,病理学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認することですが,浸潤性疾患のなかでも局在性の高い疾患で,皮膚病変以外での病理診断の確定診断率の低い疾患です.心内膜生検の診断率は19%程度とされているため1),画像診断が診断の大きな役割を担います.
心サルコイドーシスは,サルコイドーシスのなかでも,生命の危機となる重篤な不整脈から診断に至る場合が多く,診断に至れば厳重な管理が必要となる疾患です.全身性サルコイドーシスのなかで,心サルコイドーシスの合併率は5〜10%程度とされていますが,病理解剖からの検討では,小さなものも含めると,全身性サルコイドーシスの約70%に心病変を認めるとも報告されています2).このように,全身性の浸潤疾患の一部である心サルコイドーシスの確定診断は困難な場合があります.心臓超音波検査でのカットオフに至らなくても,心サルコイドーシスの早期所見である可能性はあり,その他の画像診断と合わせて確実に診断し,治療に生かすことが重要です.
今回は,心サルコイドーシスの診断において,その他の画像診断が重要であった症例を経験したので,振り返ってみたいと思います.
参考文献
1)Uemura A, Morimoto S, Hiramitsu S, et al : Histologic diagnostic rate of cardiac sarcoidosis : evaluation of endomyocardial biopsies. Am Heart J 138 (2 Pt 1):299-302,1999
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6)Iwai K, Sekiguti M, Hosoda Y, et al : Racial difference in cardiac sarcoidosis incidence observed at autopsy. Sarcoidosis 11:26-31,1994
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8)加藤靖周,森本紳一郎:特定心筋症を探る 心サルコイドーシスの心エコー.心エコー 9:590-597,2008
9)Ishimaru S, Tsujino I, Takei T, et al : Focal uptake on 18F-fluoro-2-deoxyglucose positron emission tomography images indicates cardiac involvement of sarcoidosis. Eur Heart J 26:1538-1543,2005
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