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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻7号

2016年07月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

自動血球計数装置で髄液・体腔液を測定する際のピットフォール

著者: 小笠原篤1 田中由美子1 宮地勇人2

所属機関: 1東海大学医学部付属病院 診療技術部臨床検査技術科 2東海大学医学部付属病院 基盤診療学系臨床検査学

ページ範囲:P.630 - P.633

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はじめに

 髄液や胸水など体腔液の細胞数算定および分画の測定は,従来用手法にて行われてきた.近年,自動血球計数装置の測定に,新たな測定機能として,髄液・体腔液の細胞数算定および分画の測定(体液測定モード)が搭載され,これを利用する施設が増加している1).この背景には,日当直時間帯の緊急検査の項目の拡大において,担当技師のトレーニング負担の軽減や目視法の誤判定の回避策としての利用が挙げられる.しかしながら,体腔液の検体の性状はさまざまで,しばしば測定結果に影響を及ぼす.すなわち,粘調性のある検体,細胞数が著増している検体や上皮細胞が多く含まれている検体などは,正しい結果が得られず,目視法と乖離する.このため,自動血球計数装置を用いた髄液・体腔液の細胞数算定および分画の測定(体液細胞の自動算定)における運用は,各施設で異なっている.

参考文献

1)田部陽子,近藤弘,永井豊:体腔液検査の現状と課題(Part1)体腔液測定の海外の現状と日本で望まれる対応(会議録).日検血会誌 16:S84,2015
2)Bourner G, De la Salle B, George T, et al : ICSH guidelines for the verification and performance of automated cell counters for body fluids. Int J Lab Hematol 36:598-612,2014
3)田部陽子:体腔液の自動分析—「体液細胞数自動算定ガイドライン」(ICSH2014)の概要.検と技 43:1182-1185,2015
4)中沢渚,権藤和美,田中由美子,他:Sysmex XN-Series Clinical case report Vol.3(BFmode).シスメックス社,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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