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文献概要
はじめに
近年,デジタル化に伴い,脳波計にはさまざまなフィルターが装備されているが,主なフィルターは,低い周波数成分を取り除く低域遮断(ローカット)フィルター,高い周波数成分を取り除く高域遮断(ハイカット)フィルター,交流障害を取り除くハム(AC)フィルターの3種類である.脳波計では,低域遮断周波数を慣習的に時定数(time constant)で表す1)ため,検査スタート時の標準的フィルター条件は,時定数0.3秒,高域遮断フィルター120Hz,ハムフィルターOFFになる.この条件によって,脳波検査で必要とされる0.5〜60Hz(100Hz)の周波数の波を見ることが可能となっている1).
さらに,注目する周波数の波を際立たせたり,アーチファクトなどの不要な周波数成分を取り除き,判読の精度を高めるために,フィルターの変更が必要となる場合がある.しかし,使用にあたってはおのおののフィルターの特性を理解し,適切な使用をしなければ大事な脳波所見を見逃したり,誤読してしまうことにつながる.本稿では,これら3種類のフィルターの特性とともに,不適切な使用による具体例も挙げ解説する.
近年,デジタル化に伴い,脳波計にはさまざまなフィルターが装備されているが,主なフィルターは,低い周波数成分を取り除く低域遮断(ローカット)フィルター,高い周波数成分を取り除く高域遮断(ハイカット)フィルター,交流障害を取り除くハム(AC)フィルターの3種類である.脳波計では,低域遮断周波数を慣習的に時定数(time constant)で表す1)ため,検査スタート時の標準的フィルター条件は,時定数0.3秒,高域遮断フィルター120Hz,ハムフィルターOFFになる.この条件によって,脳波検査で必要とされる0.5〜60Hz(100Hz)の周波数の波を見ることが可能となっている1).
さらに,注目する周波数の波を際立たせたり,アーチファクトなどの不要な周波数成分を取り除き,判読の精度を高めるために,フィルターの変更が必要となる場合がある.しかし,使用にあたってはおのおののフィルターの特性を理解し,適切な使用をしなければ大事な脳波所見を見逃したり,誤読してしまうことにつながる.本稿では,これら3種類のフィルターの特性とともに,不適切な使用による具体例も挙げ解説する.
参考文献
1)橋本修治,幸原信夫:臨床電気神経生理学の基本.診断と治療社,pp166-178,2013
2)石山陽二:臨床神経生理検査におけるME技術.松浦正人(編):臨床生理検査の実際.新興医学出版社,pp6-25,2007
3)佐野仁:神経生理検査におけるMEの知識.第9回臨床神経生理技術講習会・東京.講義テキスト,pp21-41,2014
4)日本光電工業:脳波計取扱の実際,改訂第3版.pp29-34,2012
5)三浦祥子:脳波検査の基礎(アーチファクト).日本臨床衛生検査技師会(監修):神経生理検査技術教本.じほう,pp52-55,2015
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