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文献詳細

雑誌文献

検査と技術44巻9号

2016年09月発行

文献概要

オピニオン

日本におけるがん検診の現状と課題

著者: 松田一夫1

所属機関: 1公益財団法人福井県健康管理協会・県民健康センター

ページ範囲:P.812 - P.813

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はじめに

 がん検診の目的は癌死亡率を下げることであり,形態は対策型検診と任意型検診に分かれる.対策型検診は市区町村が公費で住民に対して行う検診で,地域の癌死亡率減少を目的とし,任意型検診は自己責任で受け,自身の癌死亡リスクを減らすものである.職域で福利厚生の一環として行われるがん検診も任意型検診と呼ばれるが,職域全体の癌死亡を減らす意味が強く,対策型検診に近い.ちなみに,事業所にはがん検診の実施義務はない.

 対策型検診では,結果を厚生労働省に地域保健・健康増進事業報告する義務がある一方,任意型検診や職域検診には報告義務はなく,実態は不明である.対策型検診としては胃・肺・大腸・乳・子宮頸癌の5つのがん検診が行われ(表1)1),いずれも死亡率減少効果が証明されているが,現実には死亡率減少に至っていない.わが国におけるがん検診の問題点について述べる.

参考文献

1)厚生労働省:がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針の一部改正について.厚生労働省健康局長通知(健発0204第13号 平成28年2月4日),2016
2)政府統計の総合窓口(e-Stat):平成25年度地域保健・健康増進事業報告 閲覧(健康増進編)市区町村表(https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001130682&requestSender=dsearch)(2016年4月21日アクセス)
3)日本消化器がん検診学会全国集計委員会:平成24年度消化器がん検診全国集計.日消がん検診誌 53:60-86,2015
4)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」:国民生活基礎調査による都道府県別がん検診受診率データ(http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#pref_screening)(2016年4月21日アクセス)
5)OECD.Stat : Health Care Utilisation : Screening(http://stats.oecd.org/)(2016年4月21日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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