文献詳細
文献概要
トピックス
ジカウイルス感染症
著者: 忽那賢志1
所属機関: 1国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際診療部
ページ範囲:P.15 - P.17
文献購入ページに移動ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症とは,フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介性感染症である.ジカウイルス感染症を媒介する蚊は,主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である1).日本にはネッタイシマカは生息していないが,ヒトスジシマカは青森県〜北海道を除いた日本全土に分布している.このため,日本国内でも輸入例を発端とした流行が起こりうる.また,性交渉によって男性から女性,男性から男性に感染したと思われる症例も報告されている.当初,性交渉による感染例は全体のごく一部であると考えられていたが,決してまれではないようである.回復から6カ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告もあり2),現時点では,いつまでジカウイルスが精液中に残存するのか不明である.
ジカウイルス感染症は近年,急速に流行地域を拡大しており,2015年〜現在にかけて,中南米で大流行を起こしている3).中南米以外にもオセアニアやベトナム,タイ,シンガポールなどの東南アジアでも症例が報告されている.日本では2016年10月時点で12例の輸入例が報告されている4).
ジカウイルス感染症とは,フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介性感染症である.ジカウイルス感染症を媒介する蚊は,主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である1).日本にはネッタイシマカは生息していないが,ヒトスジシマカは青森県〜北海道を除いた日本全土に分布している.このため,日本国内でも輸入例を発端とした流行が起こりうる.また,性交渉によって男性から女性,男性から男性に感染したと思われる症例も報告されている.当初,性交渉による感染例は全体のごく一部であると考えられていたが,決してまれではないようである.回復から6カ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告もあり2),現時点では,いつまでジカウイルスが精液中に残存するのか不明である.
ジカウイルス感染症は近年,急速に流行地域を拡大しており,2015年〜現在にかけて,中南米で大流行を起こしている3).中南米以外にもオセアニアやベトナム,タイ,シンガポールなどの東南アジアでも症例が報告されている.日本では2016年10月時点で12例の輸入例が報告されている4).
参考文献
1)Ioos S, Mallet HP, Leparc Goffart I, et al : Current Zika virus epidemiology and recent epidemics. Med Mal Infect 44:302-307,2014
2)Barzon L, Pacenti M, Franchin E, et al : Infection dynamics in a traveller with persistent shedding of Zika virus RNA in semen for six months after returning from Haiti to Italy, January 2016. EuroSurveill 21,2016
3)WHO : Zika situation report, 13 October 2016(http://www.who.int/emergencies/zika-virus/situation-report/13-october-2016/en/)(2016年10月20日アクセス)
4)厚生労働省:ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109899.html)(2016年10月20日アクセス)
5)Duffy MR, Chen TH, Hancock WT, et al : Zika virus outbreak on Yap Island, Federated States of Micronesia. N Engl J Med 360:2536-2543,2009
6)Cerbino-Neto J, Mesquita EC, Souza TM, et al : Clinical Manifestations of Zika Virus Infection, Rio de Janeiro, Brazil, 2015. Emerg Infect Dis 22:1318-1320,2016(Epub 2016 Jul 15)
7)Brasil P, Sequeira PC, Freitas AD, et al : Guillain-Barré syndrome associated with Zika virus infection. Lancet 387:1482,2016
8)Brasil P, Sequeira PC, Freitas AD, et al : Guillain-Barré syndrome associated with Zika virus infection. Lancet 387:1482,2016
9)Kutsuna S, Kato Y, Takasaki T, et al : Two cases of Zika fever imported from French Polynesia to Japan, December 2013 to January 2014(corrected). Euro Surveill 19,2014
10)Cauchemez S, Besnard M, Bompard P, et al : Association between Zika virus and microcephaly in French Polynesia, 2013-15 : a retrospective study. Lancet 387:2125-2132,2016
掲載誌情報