検査と技術45巻10号

2017年10月発行

技術講座 生理

下肢静脈エコー—深部静脈血栓症を見逃さないために

著者： 浪崎秀洋¹

所属機関： ¹産業医科大学病院臨床検査・輸血部

ページ範囲：P.1142 - P.1147

Point

●緊急の場合，肺塞栓症の合併を先に評価する．下肢腫脹があれば患側の中枢よりアプローチする．

●静脈の描出は動脈を手掛かりにして検索する．描出困難な症例は体位変換が有効になることがある．

●静脈圧迫法とミルキング法を行う前に，必ず断層法とカラードプラ法を用いて血栓検索を行うべきである．

●血栓を描出し得たならば，①存在範囲，②可動性（浮遊血栓の有無），③病期（急性か慢性か）を判断し，臨床に報告するよう努める．

参考文献

1）日本超音波医学用語・診断基準委員会：下肢深部静脈血栓症の標準的超音波診断法．Jpn J Med Ultrasonics　35：35-44，2008

2）久保田義則：第1章　知ると知らぬじゃ大違い 知っておきたい検査の知識　6 情報量と質が変わるアプローチ．松尾汎（監），久保田義則（編著）：血管エコー達人養成講座—動画で学ぶ本当は教えたくない検査テクニック．メディカ出版，pp52-61，2009

3）小谷敦志：第3章　困難症例を乗り切る検査・診断達人工夫テクニック　2 検査体位の工夫：下肢静脈エコー．松尾汎（監），久保田義則（編著）：血管エコー達人養成講座—動画で学ぶ本当は教えたくない検査テクニック．メディカ出版，pp109-116，2009

4）小谷敦志：Ⅲ 下肢静脈エコー　A 検査手技　6 下肢静脈エコー診断の基本操作．重松宏，松尾汎（編）：下肢動静脈エコー実践テキスト．南江堂，pp159-173，2008

5）浪崎秀洋，西上和宏：特集 心血管イメージング最前線—エコー，CTからcoronary imagingまで　1．超音波 s．下肢静脈超音波：肺動脈塞栓症を予防する．Heart View　17：138-146，2013

6）佐藤洋：Ⅱ 超音波で診る　3 深部静脈血栓症診断のための標準的超音波検査法．佐藤洋，遠田栄一（編）：月刊Medical Technology別冊　超音波エキスパート6 下肢静脈疾患と超音波検査の進め方—いかに深部静脈血栓症・下肢静脈瘤をエコーで診るか．医歯薬出版，pp65-80，2007

7）Berry RE, George JE, Shaver WA : Free-floating deep venous thrombosis. A retrospective analysis. Ann Surg　211：719-723，1990