icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術45巻10号

2017年10月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

ABI検査の実際とピットフォール

著者: 山本義徳1 久保田義則1

所属機関: 1北播磨総合医療センター中央検査室

ページ範囲:P.1179 - P.1183

文献購入ページに移動
ABIの測定方法

 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)の診断においてはさまざまな検査法があるが,そのなかでABI(ankle brachial index)は最も広く普及し,幅広く施行されている検査である.API(ankle pressure index)もしくはABPI(ankle brachial pressure index)という名称も散見されるが,近年ではABIという名称が一般的である.

 ABIの測定方法1)には,Doppler聴診器を用いたDoppler法,光電式容積脈波(photoplethysmogram:PPG)を用いた脈波法,オシロメトリック法(振動法)があり,一般に普及している自動血圧測定器にはオシロメトリック法が用いられている.オシロメトリック法では,加圧後に減圧する過程で圧脈波が急激に大きくなるときのカフ圧を収縮期血圧としている.カフの圧センサーは1つのため,前脛骨動脈,後脛骨動脈,腓骨動脈を別々に測定することができない.そのため,閉塞動脈があっても1本でも開存している動脈があれば,その血管の血圧を反映し,正常値を示すことがしばしばある.オシロメトリック法は足首血圧が40mmHg以下の場合には測定が困難であり,その場合はDoppler法を使用して,後脛骨動脈と足背動脈の血圧測定が必要となる.

参考文献

1)日本循環器学会,日本高血圧学会,日本心臓病学会,他:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011-2012年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン.pp59-67,2013
2)日本循環器学会,日本インターベンショナルラジオロジー学会,日本形成外科学会,他:2014年度合同研究班報告 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015年改訂版),2015
3)久保田義則:19.検査 血管機能.松尾汎(監):血管診療図解テキスト.メディカ出版,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?