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臨床検査のピットフォール
ABI検査の実際とピットフォール
著者: 山本義徳1 久保田義則1
所属機関: 1北播磨総合医療センター中央検査室
ページ範囲:P.1179 - P.1183
文献購入ページに移動末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)の診断においてはさまざまな検査法があるが,そのなかでABI(ankle brachial index)は最も広く普及し,幅広く施行されている検査である.API(ankle pressure index)もしくはABPI(ankle brachial pressure index)という名称も散見されるが,近年ではABIという名称が一般的である.
ABIの測定方法1)には,Doppler聴診器を用いたDoppler法,光電式容積脈波(photoplethysmogram:PPG)を用いた脈波法,オシロメトリック法(振動法)があり,一般に普及している自動血圧測定器にはオシロメトリック法が用いられている.オシロメトリック法では,加圧後に減圧する過程で圧脈波が急激に大きくなるときのカフ圧を収縮期血圧としている.カフの圧センサーは1つのため,前脛骨動脈,後脛骨動脈,腓骨動脈を別々に測定することができない.そのため,閉塞動脈があっても1本でも開存している動脈があれば,その血管の血圧を反映し,正常値を示すことがしばしばある.オシロメトリック法は足首血圧が40mmHg以下の場合には測定が困難であり,その場合はDoppler法を使用して,後脛骨動脈と足背動脈の血圧測定が必要となる.
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