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増刊号 一般検査ベーシックマスター 第1部 基礎から学ぼう一般検査
寄生虫検査—原虫,マラリア
著者: 石井明1
所属機関: 1浜松医科大学ウイルス・寄生虫学講座
ページ範囲:P.251 - P.257
文献購入ページに移動日本国内の寄生虫感染者数は,大戦後の衛生状態の改善や集団駆虫によって激減した.しかし,海外旅行ブームや食品流通機構の発達によって,世界中から多種多様な寄生虫症が国内にもち込まれる危険性が増大している.人体内部に寄生する寄生虫は,単細胞真核生物である原虫類と多細胞からなる蠕虫類とに大別される.国内で注目されている原虫症は,1999年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく感染症発生動向調査の対象として挙げられている1).再興寄生虫症のマラリア,赤痢アメーバ症(アメーバ赤痢),ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症),そして新興寄生虫症のクリプトスポリジウム症である.また,調査対象とはなっていないが,腟トリコモナス症は性感染症として問題となっている.
このような原虫症に対して診断を施すには,まず検体を適切に処理し,検出すべき原虫の種類や発育段階などに応じた最適検査法を選択することが重要である.さらに,一般検査室での原虫検査は光学顕微鏡によるものが主であるので,検査対象にあった顕微鏡の倍率,明るさやコントラストの調整方法,原虫を正確に鑑別するための形態的特徴を理解し,観察眼を養うことが必要である.
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