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文献詳細

雑誌文献

検査と技術45巻5号

2017年05月発行

文献概要

FOCUS

レプトスピラ感染症

著者: 八幡照幸1

所属機関: 1沖縄県立中部病院臨床検査科細菌検査室

ページ範囲:P.520 - P.523

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はじめに

 レプトスピラ感染症は亜熱帯地域を中心に世界中に広く分布する人獣共通感染症で,極地を除いた世界各国で発生が確認されている.WHO(World Health Organization)の試算によると毎年873,000人が発症し,48,600人が死亡していると予想されている1).豪雨期や作物栽培周期などに関連して季節的変動があり,大規模洪水災害時には集団発生も報告されている2).日本でも各地で秋疫,七日熱,天竜熱,波佐見熱,作州熱などの風土病として呼ばれており3,4),1970年代前半までは年間50〜250人の死亡者が報告されていたが3),現在は農作業の機械化,衛生環境の向上などにより著しく減少した.2003年11月には4類感染症に指定され,年間16〜48例の報告がある5).多くは沖縄の症例であるが,沖縄以外の地域でも,台風や洪水などの大規模水害の後にレプトスピラ感染症患者発生が報告されている.

参考文献

1)Day N, Calderwood SB, Baron EL : Epidemiology, microbiology, clinical manifestations, and diagnosis of leptospirosis. (http://www.uptodate.com/contents/epidemiology-microbiology-clinical-manifestations-and-diagnosis-of-leptospirosis)(2017年3月7日アクセス)
2)Faine S(編著),小西久典,富田正章,吉井善作(訳):レプトスピラ症防疫指針,第1版.内田老鶴圃,1987
3)齋藤光正,Sharon Y. A. M. Villanueva,増澤俊幸,他:レプトスピラ感染症—ワイル病病原体発見から百年.日細菌誌 69:589-600,2014
4)吉田眞一,柳雄介(編):戸田新細菌学,改訂32版.南山堂,pp690-692,2002
5)沖縄県:沖縄県感染症発生動向調査事業報告書.2016(平成26年)年報.5参考資料(http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/documents/leptospirosis_201609.pdf)(2017年3月7日アクセス)
6)小泉信夫,渡辺治雄:レプトスピラ症の最新の知見.Mod Media 52:299-306,2006
7)仲宗根勇:スピロヘータ.臨と微生物 31:524-528,2004
8)国立感染研究所:レプトスピラ症 病原体検査マニュアル(http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/leptospirosis.ver2015-2-2.pdf)(2017年3月7日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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