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原虫を疑った場合の糞便検体の取り扱いについて教えてください.
著者: 松尾淳司1 宇賀昭二2
所属機関: 1北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野 2神戸女子大学看護学部
ページ範囲:P.580 - P.582
文献購入ページに移動A 下痢の原因となる原虫には,赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica),ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis),腸トリコモナス(Pentatrichomonas hominis),クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum,C. hominisなど),そしてサイクロスポーラ(Cyclospora cayetanensis)などが挙げられます.これらのうち,赤痢アメーバ,ランブル鞭毛虫(疾患名はジアルジア症),そしてクリプトスポリジウムの3種は「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の5類感染症に指定されているので,診断後7日以内に最寄りの保健所に届け出る必要があります.現在までのところ,赤痢アメーバ,ランブル鞭毛虫,そしてクリプトスポリジウムを同時に検出できる方法は,残念ながらありません.したがって,想定される原虫類に応じて,検査方法を適切に選択する必要があります.なお,クドア(Kudoa septempunctata)による食中毒事例も報告されていますが,本虫はヒト体内で増殖しないと考えられており,糞便が検査対象とならないので本稿では省略しました.
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