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技術講座 微生物
Clostridium botulinumを知る
著者: 木部泰志1 清祐麻紀子1
所属機関: 1九州大学病院検査部
ページ範囲:P.744 - P.749
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●ボツリヌス症には食餌性ボツリヌス症,創傷ボツリヌス症,乳児ボツリヌス症,成人腸管定着ボツリヌス症があり,それぞれの診断に適した検体採取が必要である.
●C. botulinumの分離には嫌気培養が必要で,卵黄を含む培地を用いてリパーゼ反応を指標にして釣菌するとよい.便検体ではエタノール処理も有効である.
●最終的な菌種確定と診断には毒素産生の証明と毒素型の決定が必要であるが,自施設では困難な場合が多い.
●二種病原体であるため取り扱いに注意を要する.分離同定時,所持,運搬に際して届け出が必須である.
●ボツリヌス症には食餌性ボツリヌス症,創傷ボツリヌス症,乳児ボツリヌス症,成人腸管定着ボツリヌス症があり,それぞれの診断に適した検体採取が必要である.
●C. botulinumの分離には嫌気培養が必要で,卵黄を含む培地を用いてリパーゼ反応を指標にして釣菌するとよい.便検体ではエタノール処理も有効である.
●最終的な菌種確定と診断には毒素産生の証明と毒素型の決定が必要であるが,自施設では困難な場合が多い.
●二種病原体であるため取り扱いに注意を要する.分離同定時,所持,運搬に際して届け出が必須である.
参考文献
1)吉田眞一,柳雄介,吉開泰信(編):戸田新細菌学,第34版.南山堂,2013
2)国立感染症研究所レファレンス委員会地方衛生研究所全国協議会:ボツリヌス症,2012年12月7日(http://www.nih.go.jp/niid/images/lab-manual/botulism121207.pdf)(2017年3月7日アクセス)
3)Stevens DL, Bryant AE, Carroll KC : Clostridium. Jorgensen JH, Pfaller MA, Carroll KC, et al (eds) : Manual of Clinical Microbiology, Volume 1, 11th ed. ASM Press, Washington DC, pp940-966, 2015
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5)小熊惠二,門間千枝,堀川和美:ボツリヌス菌 毒素と食中毒.臨と微生物 35:353-358,2008
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9)木部泰志,諸熊由子,清祐麻紀子,他:同定に苦慮したClostridium botulinumによる乳児ボツリヌス症の1症例.日臨微生物誌 22:221-226,2012
10)国立感染症研究所(監訳・監修):感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013-2014版,2013(http://www.niid.go.jp/niid/images/biosafe/who/WHOguidance_transport13-14.pdf)(2017年4月10日アクセス)
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