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臨床検査のピットフォール
脱灰液が核酸品質に与える影響に注意
著者: 吹谷美佳1 丸川活司1 安孫子光春1
所属機関: 1北海道大学病院病理部
ページ範囲:P.774 - P.777
文献購入ページに移動組織標本を作製する過程において,組織検体に骨,歯,石灰化病変のような硬組織が含まれている場合,そのままでは切り出しやミクロトームでの薄切は非常に困難である.そこで,酸などにより組織内の炭酸カルシウムをカルシウム塩に分解し,あらかじめ切り出しや薄切が可能な硬さまで変化させておく必要がある.このように石灰化組織から石灰を除去する操作を脱灰といい,脱灰操作に求められる条件としては,組織検体の膨化・収縮・溶解などの変性が起こらず,染色性に影響がないことが挙げられる.
現在,病理検査室で行われている脱灰法には,無機酸である塩酸や硝酸,有機酸であるギ酸などを単独で用いる方法と,プランク・リュクロ(Plank-Rychlo)液のように有機酸と無機酸を混合したものを用いる方法の他に,EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)やクエン酸などのキレート剤を用いる方法があるが,脱灰操作を用いた場合の欠点として,HE(hematoxylin-eosin)染色でのヘマトキシリンの染色性の低下や,免疫組織化学染色での抗原性失活による発色感度の減弱などが報告されている1,2).しかし,脱灰操作による核酸品質への影響に関する報告3〜5)は少ないことから,薄切時に利用される表面脱灰法を用い,これらが核酸品質に与える影響について考えてみたい.
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