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文献詳細

雑誌文献

検査と技術46巻1号

2018年01月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

ST合剤のMIC値の見方・考え方を教えてください.

著者: 藤田崇宏1

所属機関: 1北海道がんセンター感染症内科

ページ範囲:P.54 - P.57

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MIC値は“読んで”はいけない

 最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)値について,臨床医から問い合わせがきた場合は要注意である.なぜならMIC値についてほとんどの臨床医は正しく理解していないからである.臨床医が最も理解していないことは何か? それは“自分がMIC値を見てもほとんど意味がない”ということである.

 臨床医は微生物検査結果をなんのために見ているだろうか.ほとんどの臨床医はこう答えるだろう.“抗菌薬を選びたいから”と.微生物検査の結果をもって抗菌薬選択を考える行為自体には問題はない.問題があるのは,検査結果に載っているMIC値を見て抗菌薬を選ぼうとすることである.多くの医師は最低限の知識として“MIC値は微生物の発育を抑制する最小限の濃度である”ということは理解している.しかし,多くの医師はMIC値の測定方法,およびその解釈についてはきちんと教わったことがないため,その最低限の知識を元にして“発育を阻止できる最低限の濃度なので,その濃度が低いほうが効果が高い”という勝手な論理展開をしている.そのため,微生物検査の報告にずらっと並んでいるMIC値を眺めて,“同じ感性(susceptible:S)ならば,一番低い数値を示している薬剤が当該の微生物に対して最も効果のある薬剤である”と考えて抗菌薬を選ぶこともあるのだ!

参考文献

1)藤田崇宏:“実践的”抗菌薬の使い方—その本質を理解する 薬剤同士の“違い=個別性”を理解して実践的な使い分けを習得する ST合剤.Medicina 50:1262-1265,2013
2)Proctor RA : Role of folate antagonists in the treatment of methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection. Clin Infect Dis 46:584-593,2008
3)田村俊,池戸正成:MIC測定の精度上の問題点.日化療会誌 59:460-468,2011
4)Bushby SR : Trimethoprim-sulfamethoxazole : in vitro microbiological aspects. J Infect Dis 128(Suppl):442-462,1973
5)JANIS:よくあるご質問 合剤の感受性結果はどのように報告したらよいでしょうか?(https://janis.mhlw.go.jp/faq/index.html#110)(2017年10月16日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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