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臨床検査のピットフォール
凝固時間検査,患者のヘマトクリット(Ht)値を気にしていますか?
著者: 内藤澄悦1 家子正裕2
所属機関: 1北海道医療大学病院臨床検査部 2北海道医療大学歯学部内科学分野
ページ範囲:P.66 - P.69
文献購入ページに移動プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)などの凝固検査は,出血性疾患および血栓性疾患のスクリーニング検査やワルファリンおよびヘパリンなどの抗凝固療法のモニタリング検査として頻用されている.致死性疾患の診断根拠となる場合も少なくなく,臨床に直結する検査であるが,その検体の採取方法や取り扱いの不備などに対して非常に敏感な検査である.
凝固検査に影響を与える要因としては,採血手技や凝固検体の取り扱いなど人為的・技術的なものが多い(表1)1).特に,抗凝固剤として用いられるクエン酸ナトリウム液と採取された血液の比率(混合比)が適切でなかった場合は,誤った測定結果を診療室に送ることになる.通常,採取された全血液量が少ないと,サンプル中の抗凝固剤の混合比が高くなり凝固時間は延長する.同様に,多血症患者において,通常の抗凝固剤の混合比ではサンプル中に含まれる血漿量が少なくなり,相対的に抗凝固剤の濃度が高くなるので凝固時間は延長しやすい.適切な凝固検査を行うためには,患者ヘマトクリット(hematocrit:Ht)値にも留意することが大切で,必要に応じてHt値による抗凝固剤の補正が重要となる.
本稿では,Ht値による凝固検査の補正方法とその重要性について述べたい.
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