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雑誌文献

検査と技術46巻10号

2018年10月発行

文献概要

トピックス

「産科危機的出血への対応指針2017」改訂ポイントと検査体制

著者: 牧野真太郎1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院産科・婦人科

ページ範囲:P.1133 - P.1137

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はじめに

 産科出血は突発的で大量になることがあり,二次的な弛緩出血を起こして急速に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)へと至ることも多い.また,大量出血による希釈性凝固障害だけでなく,常位胎盤早期剝離,羊水塞栓症,妊娠高血圧症候群重症型,HELLP(hemolysis,elevated liver-enzymes,low platelets)症候群,死胎児稽留症候群など,早期よりDICとなる消費性凝固障害があることが特徴的である1)

 このため,大量出血が起こった場合には,その出血点の確認や適切な止血操作に加え,出血の原因と患者の全身状態を把握しながら輸血のタイミングを考慮することが求められる.

 分娩後異常出血(postpartumhemorrhage:PPH)の予測にフィブリノゲン値が有効であるとされ,200mg/dL以下では陽性反応適中度(positive predictive value)100%で重度のPPHが発生すると報告されている2)

 海外においては産科大量出血に対して少用量で多量の凝固因子を補充できるクリオプレシピテートやフィブリノゲン濃縮製剤(fibrinogen concentrate:FC)が使用されている.現在,日本ではクリオプレシピテート製剤は販売されておらず,FCは先天性フィブリノゲン欠損症の適応しか認められていない.しかし,近年日本においても産科大量出血に対するFCの効果について論文や学会などでの症例報告が増えてきている.

参考文献

1)日本産婦人科医会:妊産婦死亡報告事業_妊産婦死亡146例の解析結果.2014(http://www.jaog.or.jp/all/document/80_141015_b.pdf)(2018年7月10日アクセス)
2)Lockwood CJ : Pregnancy-associated changes in the hemostatic system. Clin Obstet Gynecol 49:836-843,2006
3)Takeda S, Makino S, Takeda J, et al : Japanese Clinical Practice Guide for Critical Obstetrical Hemorrhage (2017 revision). J Obstet Gynaecol Res 43:1517-1521,2017
4)Makino S, Takeda S, Kobayashi T, et al : National survey of fibrinogen concentrate usage for post-partum hemorrhage in Japan : investigated by the Perinatology Committee, Japan Society of Obstetrics and Gynecology. J Obstet Gynaecol Res 41:1155-1160,2015
5)Matsunaga S, Seki H, Ono Y, et al : A retrospective analysis of transfusion management for obstetric hemorrhage in a Japanese obstetric center. ISRN Obstet Gynecol,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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