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膀胱癌診療の最前線
著者: 菊地栄次1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
ページ範囲:P.1138 - P.1140
文献購入ページに移動わが国では年間2万人が膀胱癌を発症するとされ,発見の契機としては無症候性肉眼的血尿で見つかることが多い.男性が女性の3倍と多く,65歳がピークとされている.またリスク因子として喫煙が挙げられる.
膀胱癌の90%以上は尿路上皮癌であり,病理組織学的には乳頭状を呈することが多い.一方,膀胱の上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)は異型度の高い癌細胞からなるが,flat carcinomaの像を呈する.
膀胱癌は初診時に大きく3つのタイプに分けて診療が進められる.①腫瘍が粘膜あるいは粘膜下にとどまる筋層非浸潤性膀胱癌,②すでに腫瘍が膀胱筋層あるいは周囲脂肪織に浸潤している筋層浸潤性膀胱癌,そして③リンパ節転移あるいは遠隔転移を認める転移性膀胱癌である.
筋層非浸潤性膀胱癌に対しては経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of the bladder tumor:TURBT)により腫瘍の完全切除を行った後,再発予防として抗癌剤あるいはBCG(bacillus Calmette-Guérin)の膀胱内注入療法が試みられる.筋層浸潤性膀胱癌に対しては根治的膀胱全摘除術が施行され,尿路変向として非禁制型(尿失禁型)あるいは禁制型尿路変向術(自己導尿型,自排尿型)が選択される.転移性膀胱癌に対してはシスプラチンを中心とした多剤併用の全身化学療法が初期治療として施行される.
本稿ではごく最近の膀胱癌診療に関する4つのトピックスについて概説する.
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