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雑誌文献

検査と技術46巻11号

2018年11月発行

文献概要

トピックス

デジタルパソロジー時代における臨床検査技師の役割

著者: 加島志郎1 山形寿美代1 福岡順也23

所属機関: 1兵庫県立淡路医療センター検査部・病理診断科 2長崎大学大学院医歯薬総合研究科病理学/病理診断科 3亀田総合病院臨床病理科

ページ範囲:P.1219 - P.1222

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はじめに

 病理医の絶対数不足のため,地方の基幹病院クラスであっても常勤病理医を確保することが困難となり,タイムリーな病理診断が難しい(外注によるタイムラグの発生など),あるいは病理医がいてもダブルチェック体制を実施することができない(いわゆる“1人病理医”問題)など,多くの医療機関において病理診断精度の担保に恒常的なリスクを抱えていることは,臨床検査技師の観点からもよく知られていることでしょう.

 年来続くこの深刻な問題を解消するための“遠隔病理診断”という発想は,日本では1980年代後半から具現化され,顕微鏡の静止画像をメールに貼付する方法,ネット経由で顕微鏡を遠隔操作し画像を通信回線経由で入手する方法などによって実施されてきました.黎明期・初期のこれらの手法は“テレパソロジー”と呼ばれていました.これが病理のデジタル化の始まりです.

 近年になって,スライドガラスを完全にデジタル化するスキャン技術が進歩して“デジタルパソロジー”と呼称されるようになると,デジタル化は“テレパソロジー”といった限局的な使用目的のみならず,病理診断のワークフローにおいて変革を迫る大きな波として押し寄せてきています.

参考文献

1)FDA U. S. FOOD & DRUG : FDA allows marketing of first whole slide imaging system for digital pathology. FDA news release on April 12, 2017(https://www.fda.gov/newsevents/newsroom/pressannouncements/ucm552742.htm)(2018年7月23日アクセス)
2)日本デジタルパソロジー研究会,デジタルパソロジー技術基準検討会:病理診断のためのデジタルパソロジーシステム技術基準(第2版),2016
3)山口雅治:デジタル病理診断に向けた画像処理・解析技術.医用画像情報会誌 32:19-24,2015
4)阿部時也,村上百合,山口雅浩,他:マルチスペクトル画像を用いた病理画像の色素量の定量化と色標準化—バンド数と計算精度の検討.MED IMAG TECH 24:38-47,2006
5)日本デジタルパソロジー研究会(http://www.digitalpathology.jp/)(2018年7月23日アクセス)
6)Digital Pathology Association(https://digitalpathologyassociation.org/)(2018年7月23日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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