検査と技術46巻2号

2018年02月発行

技術講座 輸血

—step up編—クリニカルパスと自己血輸血

著者： 池田敏之¹

所属機関： ¹東京大学医学部附属病院輸血部

ページ範囲：P.110 - P.120

Point

●クリニカルパスは手術など一連の医療行為を標準化し時系列順に表示して，診療の実施記録や患者説明に用いるもので，医療の標準化，情報共有，インフォームド・コンセントだけでなく，実施した医療行為の評価や医療の質の向上のためにも有用である．

●クリニカルパスを自己血輸血療法の質の向上に用いるためには，適切なアウトカムを設定しそのバリアンス分析を行うことが重要である．

●自己血輸血におけるクリニカルパスのアウトカムは患者中心の輸血医療（PBM）の実現であると捉えることができる．

●現在使用されているクリニカルパスは，自己血輸血療法のうち自己血貯血に特化したものが多いが，将来的には自己血輸血の実施や輸血効果の評価，輸血後の適正な在庫管理まで含んだ，診療科・職種横断型の統合電子パスの開発が望ましい．

参考文献

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2）日本クリニカルパス学会学術委員会（監）：基礎から学ぶクリニカルパス実践テキスト．医学書院，pp1-8，2012

3）日本クリニカルパス学会学術委員会（監）：基礎から学ぶクリニカルパス実践テキスト．医学書院，pp103-128，2012

4）渡辺智美，黒沢美千代，万本健生，他：クリニカルパスを用いた自己血採血の実際と今後の課題．自己輸血　29：S59，2016

5）遠山博（編）：輸血学，改訂2版．中外医学社，pp980-985，1989

6）紀野修一：輸血医療の新展開—Patient Blood Management（患者中心の輸血医療）．医のあゆみ　243：273-278，2012

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8）Goodnough LT, Levy JH, Murphy MF : Concepts of blood transfusion in adults. Lancet　381：1845-1854，2013

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11）Tsuno NH, Nagura Y, Kawabata M, et al : The current status of autologous blood transfusion in Japan—the importance of pre-deposit autologous blood donation program and the needs to achieve patient blood management. Transfus Apher Sci　49：673-680，2013

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