文献詳細
文献概要
増刊号 感染症クイックリファレンス 原因微生物 抗酸菌
Mycobacterium tuberculosis
著者: 品川雅明1
所属機関: 1札幌医科大学附属病院検査部
ページ範囲:P.252 - P.253
文献購入ページに移動学名 Mycobacterium tuberculosis(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)
和名 結核菌
◎性状と特徴
①細胞壁の構造と染色性
M. tuberculosisの細胞壁は,ペプチドグリカンと多糖体からなる内層表面に,ミコール酸やcord factorなどの脂質が覆った疎水性の構造を有しているため,グラム(Gram)染色では難染性を示す.一方,抗酸菌染色法の1つであるチール・ネールゼン(Ziehl-Neelsen)染色は加温によって石炭酸フクシンで染色される.いったん染色された色素は塩酸アルコールで脱色してもミコール酸がエステル結合し脱色されない性質を利用しているため,染色が容易である.
②培養検査
M. tuberculosisの分裂速度は遅く,通常,Escherichia coliでは1回の分裂が20分程度に対し,本菌では18〜24時間とされている1).そのため,培養陽性までの日数は,固形の小川培地で平均21.5日(13〜34)を要する.コロニー性状は,淡黄色,R型集落である.一方,液体培地の1つであるMGIT(mycobacteria growth indicator tube)培地では,平均16.3日(5〜40)で陽性を示す2).固形培地と比較し液体培地のほうが,感度および迅速性に優れている.
和名 結核菌
◎性状と特徴
①細胞壁の構造と染色性
M. tuberculosisの細胞壁は,ペプチドグリカンと多糖体からなる内層表面に,ミコール酸やcord factorなどの脂質が覆った疎水性の構造を有しているため,グラム(Gram)染色では難染性を示す.一方,抗酸菌染色法の1つであるチール・ネールゼン(Ziehl-Neelsen)染色は加温によって石炭酸フクシンで染色される.いったん染色された色素は塩酸アルコールで脱色してもミコール酸がエステル結合し脱色されない性質を利用しているため,染色が容易である.
②培養検査
M. tuberculosisの分裂速度は遅く,通常,Escherichia coliでは1回の分裂が20分程度に対し,本菌では18〜24時間とされている1).そのため,培養陽性までの日数は,固形の小川培地で平均21.5日(13〜34)を要する.コロニー性状は,淡黄色,R型集落である.一方,液体培地の1つであるMGIT(mycobacteria growth indicator tube)培地では,平均16.3日(5〜40)で陽性を示す2).固形培地と比較し液体培地のほうが,感度および迅速性に優れている.
参考文献
1)倉島篤行:目から鱗の結核菌の生態 臨床医からみた結核菌および結核症発生病理.日胸臨 75:458-471,2016
2)阿部千代治:酸素反応性蛍光センサーを用いた新しい抗酸菌迅速培養システムの検討.感染症誌 70:360-365,1996
3)御手洗聡,他:結核菌の細菌学と感染・発病 結核菌の細菌学.日胸臨 74:S4-S9,2015
4)尾形英雄:臨床各論 結核.臨と微生物 39:137-143,2012
5)髙木明子:微生物と感染症診療 結核菌.感染症道場 3:27-33,2014
6)髙木明子:日常検査で報告すべき耐性菌の概要と検査法 多剤耐性結核菌(MDR-TB),超多剤耐性結核菌(XDR-TB).臨と微生物 42:588-594,2015
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