文献詳細
文献概要
トピックス
血小板活性化受容体CLEC-2—その多機能性と臨床検査への応用
著者: 長田誠1 井上克枝2
所属機関: 1群馬パース大学保健科学部検査技術学科 2山梨大学大学院医学工学総合研究部臨床検査医学講座
ページ範囲:P.432 - P.435
文献購入ページに移動血小板は血管内皮細胞の損傷により血管内皮下組織であるコラーゲンなどに反応し,粘着・放出・凝集を起こし血栓を形成する(一次止血).さらに血液凝固系の反応が進行して強固な二次血栓となる(二次止血).血栓止血は,血小板の極めて重要な役割である.
CLEC-2(C-type lectin-like receptor 2)は,2000年にバイオインフォマティクス手法により発見された.その後,2006年にマレーマムシの毒から精製されたロドサイチン(rhodocytin)をリガンドとして,血小板を活性化する新規血小板活性化受容体として報告された1).CLEC-2は,ヒトでは血小板,巨核球に高発現し,肝臓のKupffer細胞,肝類洞内皮細胞に低発現している.ロドサイチンは生体内には存在しないため,CLEC-2の生体内リガンドが存在することが予想された.その生体内リガンドはシアロムチン様膜蛋白であるポドプラニン(podoplanin)であり,Ⅰ型肺胞上皮細胞,リンパ管内皮細胞,リンパ節の細網線維芽細胞,腎臓のポドサイトに発現していた.しかし,これらの細胞は通常血管内を流れている血小板と接触する機会がないため,その機能は不明であった.さらにポドプラニンは扁平上皮癌やセミノーマなどに発現を認める.
参考文献
掲載誌情報