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文献詳細

雑誌文献

検査と技術46巻5号

2018年05月発行

文献概要

連載 生理検査のアーチファクト・14

—脳波検査④—心電図による脳波のアーチファクト

著者: 石郷景子1

所属機関: 1大垣市民病院医療技術部診療検査科生理機能検査室

ページ範囲:P.584 - P.587

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こんなアーチファクトを知っていますか?

 図1〜4には共通のアーチファクトが混入している.波形全体に混入しているが,漠然としているので一部を指摘する.図1,3,4の□と図2の●印はなんだかわかるだろうか?

 図1は46歳,男性.脳梗塞の精査のため脳波を実施した.身長167.5cm,体重110.6kg,BMI(body mass index)39.4kg/m2.全誘導に規則的に混入しているのは,心電図のR波である.心電図記録を同時記録しておくとわかりやすい.図2は10カ月,男児.発熱にて入院した.成人と比較するとわかりづらいが,●印の棘波は心電図記録のR波と同じ部位に一致するので心電図のR波である.図3は3カ月,男児.心肺停止蘇生後の脳波実施である.脳波記録に出現しているのは,脳波ではなく全てが心電図記録に一致したR波とT波の混入である.いわゆるECI(electrocerebral inactivity)の脳波である.図4は図3の5倍感度の脳波である.感度を上げると振幅自体も高くなり,T波がδ波に見えたり,R波とT波が重なって突発波に見えたりするが,心電図記録と一致することと,こんなに規則正しい突発波はないことで心電図の混入であると理解できる.

参考文献

1)石郷景子:2.脳波検査に基礎技術 1)電極の装着とアーチファクト対策.Med Technol 42:537-541,2014
2)大熊輝雄:臨床脳波学,第5版.医学書院,pp60-66,1999
3)宇城研悟:アーチファクト対策.臨神生 42:393-398,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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