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連載 生理検査のアーチファクト・14
—脳波検査④—心電図による脳波のアーチファクト
著者: 石郷景子1
所属機関: 1大垣市民病院医療技術部診療検査科生理機能検査室
ページ範囲:P.584 - P.587
文献購入ページに移動図1〜4には共通のアーチファクトが混入している.波形全体に混入しているが,漠然としているので一部を指摘する.図1,3,4の□と図2の●印はなんだかわかるだろうか?
図1は46歳,男性.脳梗塞の精査のため脳波を実施した.身長167.5cm,体重110.6kg,BMI(body mass index)39.4kg/m2.全誘導に規則的に混入しているのは,心電図のR波である.心電図記録を同時記録しておくとわかりやすい.図2は10カ月,男児.発熱にて入院した.成人と比較するとわかりづらいが,●印の棘波は心電図記録のR波と同じ部位に一致するので心電図のR波である.図3は3カ月,男児.心肺停止蘇生後の脳波実施である.脳波記録に出現しているのは,脳波ではなく全てが心電図記録に一致したR波とT波の混入である.いわゆるECI(electrocerebral inactivity)の脳波である.図4は図3の5倍感度の脳波である.感度を上げると振幅自体も高くなり,T波がδ波に見えたり,R波とT波が重なって突発波に見えたりするが,心電図記録と一致することと,こんなに規則正しい突発波はないことで心電図の混入であると理解できる.
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