文献詳細
文献概要
臨床検査のピットフォール
ステルス型CREの見落としに注意!
著者: 中村竜也12
所属機関: 1神戸大学医学部附属病院検査部 2神戸大学医学部附属病院感染制御部
ページ範囲:P.664 - P.667
文献購入ページに移動近年,多剤耐性グラム陰性桿菌の増加が世界的に問題視されている.米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は「Antibiotic Resistance Threats in the United States, 2013」1)のなかで,最も警戒レベルが高い耐性菌としてCRE(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)を挙げている.わが国においては,CREは5類感染症に定められており,重要な耐性菌の1つであることは言うまでもない.
CREにおける重要な耐性因子は,βラクタマーゼ(extended spectrum βラクタマーゼ,AmpC βラクタマーゼやカルバペネマーゼなど)によるβラクタム系薬耐性であり,特にカルバペネムを分解するタイプ(カルバペネマーゼ)によるものは,抗菌薬治療および医療関連感染対策上重要視すべき耐性機構である.日本におけるカルバペネマーゼは,欧米とはタイプが違い,IMP(imipenemase)型と呼ばれる遺伝子型が多く検出される2).なかでもIMP-6型はカルバペネム系薬のMIC(minimum inhibitory concentration)値が低く,耐性と判定される基準以下を示すため検出が困難であり,その特徴から“ステルス型”と呼ばれている.ステルス型はCREの基準を満たさない場合が多く,見逃されている可能性が高い3).一方,カルバペネマーゼを産生していない株でもCREは存在する.これらを区別することは治療および感染対策において重要なポイントとなる(図1).
参考文献
掲載誌情報