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検査と技術46巻8号

2018年08月発行

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トピックス

リキッドバイオプシーの現況

著者: 西尾和人1 坂井和子1

所属機関: 1近畿大学医学部ゲノム生物学

ページ範囲:P.830 - P.833

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リキッドバイオプシーとは

 liquid biopsyという言葉が欧米で用いられるようになり,近年,わが国でもリキッドバイオプシーという用語が汎用されるようになってきた.“液性検査”と和訳され,血液サンプルを用いた遺伝子検査を指すことが多い.液性検体のため,血液以外にも尿,唾液,胸水,腹水,脳脊髄液なども用いられる.一方,従来の血液腫瘍マーカーは蛋白質,ペプチドなどを解析するのでリキッドバイオプシーとは称されない.

 リキッドバイオプシーはさまざまな疾患で臨床応用が検討されており,特に癌領域では大変注目されている.癌は,腫瘍の増殖,進展などを制御する遺伝子の変化の蓄積により発生するため,癌における遺伝子異常を検出し,治療につなげるコンパニオン診断,癌ゲノム医療がこれからの精密医療には重要である.しかし,腫瘍は非常に不均一であり,治療経過中に変化する.また,固形癌では,一般的に治療経過中に複数回の遺伝子検査を実施するための腫瘍組織の侵襲的な再生検は困難である.そこで,主に血液中に存在する腫瘍由来物質を用いた遺伝子変化の検出が行われている.

参考文献

1)Diehl F, Schmidt K, Choti MA, et al : Circulating mutant DNA to assess tumor dynamics. Nat Med 14:985-990,2008
2)Yao W, Mei C, Nan X, et al : Evaluation and comparison of in vitro degradation kinetics of DNA in serum, urine and saliva : A qualitative study. Gene 590:142-148,2016
3)Kawamura T, Kenmotsu H, Taira T, et al : Rebiopsy for patients with non-small-cell lung cancer after epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitor failure. Cancer Sci 107:1001-1005,2016
4)日本肺癌学会:肺癌患者におけるEGFR遺伝子変異検査の手引き,第3.05版(2016.12.1)(https://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1329.pdf)(2018年5月18日アクセス)
5)日本肺癌学会:EGFR遺伝子変異検査の手引き,第3.05版 補遺(https://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1503.pdf)(2018年5月18日アクセス)
6)Antonarakis ES, Lu C, Wang H, et al : AR-V7 and resistance to enzalutamide and abiraterone in prostate cancer. N Engl J Med 371:1028-1038,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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