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臨床医からの質問に答える
穿刺液を血液培養ボトルで培養検査に提出できますか?
著者: 黒沢未希1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部
ページ範囲:P.870 - P.873
文献購入ページに移動はじめに
穿刺液とは脳脊髄液や胸水,腹水,関節液などを穿刺して得た体液のことであり,検査には,一般的な性状検査や生化学検査,細胞学的検査,細菌学的検査などがある.通常は無菌であるため,感染部位より直接採取された穿刺液から細菌が検出された場合,細菌性髄膜炎や化膿性胸膜炎などの確定診断を行うことができる.感染症診療において起炎菌を特定することは重要であり,適切な抗菌薬治療を行うためには,検出菌の薬剤感受性試験を行う必要がある.しかし実際は,抗菌薬の先行投与や穿刺液の採取量,穿刺部位,採取・保存方法などのさまざまな要因により,起炎菌を検出することができない場合もある.
今回のテーマである「穿刺液を血液培養ボトルで培養検査に提出できますか?」は検査室でも賛否両論がある質問であると考えられる.なぜならば,穿刺液からの起炎菌の検出率を上げたいという臨床側の意図とは別に,穿刺に伴うコンタミネーションやコストの面など,避けては通れない問題が多くあるからである.
そこで本稿では,血液培養ボトルで培養検査を行うことによるメリット・デメリットについて,実際に検査を行っている臨床検査技師の立場なりの意見を述べたい.
穿刺液とは脳脊髄液や胸水,腹水,関節液などを穿刺して得た体液のことであり,検査には,一般的な性状検査や生化学検査,細胞学的検査,細菌学的検査などがある.通常は無菌であるため,感染部位より直接採取された穿刺液から細菌が検出された場合,細菌性髄膜炎や化膿性胸膜炎などの確定診断を行うことができる.感染症診療において起炎菌を特定することは重要であり,適切な抗菌薬治療を行うためには,検出菌の薬剤感受性試験を行う必要がある.しかし実際は,抗菌薬の先行投与や穿刺液の採取量,穿刺部位,採取・保存方法などのさまざまな要因により,起炎菌を検出することができない場合もある.
今回のテーマである「穿刺液を血液培養ボトルで培養検査に提出できますか?」は検査室でも賛否両論がある質問であると考えられる.なぜならば,穿刺液からの起炎菌の検出率を上げたいという臨床側の意図とは別に,穿刺に伴うコンタミネーションやコストの面など,避けては通れない問題が多くあるからである.
そこで本稿では,血液培養ボトルで培養検査を行うことによるメリット・デメリットについて,実際に検査を行っている臨床検査技師の立場なりの意見を述べたい.
参考文献
1)小栗豊子(編):臨床微生物検査ハンドブック,第5版.三輪書店,2017
2)Menzies SM, Rahman NM, Wrightson JM, et al : Blood culture bottle culture of pleural fluid in pleural infection. Thorax 66:658-662,2011
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