icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術46巻9号

2018年09月発行

増刊号 現場で“パッ”と使える 免疫染色クイックガイド

1章 こんなときどうする? 免疫染色の“困った”を解決 困った① 検体組織だけが染色されない

検体処理に問題がある

著者: 山田寛1 今川誠2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット 2KKR札幌医療センター病理診断科

ページ範囲:P.920 - P.926

文献概要

アセトンやアルコール固定による抗原の流出

■固定とは?

 組織や細胞は血流から切り離された途端に自己融解(autolysis)や腐敗が始まる.固定とは,その自己融解を抑えて生きていたときに近い状態の組織や細胞構造を保持するために行われる化学処理である.また生の組織は微細構造がわかりづらく,固定によって発生する人工的変化(アーチファクト)を起こすことによって,その組織の特徴を強調させ,組織特有の物質に染色性を与える.一般に病理組織標本の固定にはホルムアルデヒドなどのアルデヒド系が使われるが,エタノールやアセトンなどの有機溶剤系固定液なども使用される.

 この固定操作をいかに素早く行うかが,のちの組織標本や免疫染色,さらには遺伝子検索の質を左右する.よって固定を行うにあたっては,①固定液の種類,②固定時間,③固定温度などの条件によって多大な影響を与えるため,よく理解して用いる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら